石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その七十八

「店長が専務と対立してトンズラしましたよ。困ったもんです」。

「え~、何でまたそんなことに・・・」。

「ポスターを貼る位置や内容が、店長の想いと違ったようなのです」。

「はぁ~!?」

数店舗の飲食店を経営している社長と私との会話です。

もちろん詳しく聞いてみると、この事だけが原因ではなく、それまでも何回かの衝突があったようです。

専務の指示に対して「私には店に対する思いがあり、そのこだわりに反することは受け入れられません」ということのようです。

時には販促の内容告示としてのタペストリーを派手だということで、店の「格」が落ちると勝手に外してしまうこともあったようです。

見ようによってはしっかりと自分の考えを持った、信念がある、店を大事にしている良い店長で、専務や専務の遂行事項に許可を与えている社長にも問題があるのではないかと考えてしまう方もいるかもしれません。

その店長が専務との確執がつづいた後、3日間の無断欠勤、そして3日目の夜「電話もできないような精神的苦痛で寝込んだが明日から行くのでよろしく」と店のスタッフに電話が入った報告を受けた社長ははたして・・・。

 

『決めごとを守るからこその信念』

この仕事をしていると時々、いわゆる〈とんがった人〉に出会うことがあります。

仕事ができて自分の意見をしっかり持ち、勉強も良くしているだけに上司にもモノ申すタイプとでもいうのでしょうか。

頼もしい半面、厄介な存在になる場合があります。

前述の店長は後者に入るでしょうね。

彼の信念の中にプライベートと仕事は別ということもあるらしく、携帯も固定電話も会社には持っていないという届け出をしているため、会社からは連絡が取れません。

(実際は彼の上着がメロディーを奏でているのを多くのスタッフが聞いているので持っているようですが)。

無断で休んだので会社は心配をして、2日目には石田に社長から電話が入り「心配なので、明日も連絡がないようなら家まで行ってみようと思います」とのことでした。

その矢先、明日から出勤するという連絡です。

それも現場スタッフに直接電話するという行為。

さすがの社長も彼が出勤した当日、〈出社に及ばず、ペナルティが確定し、健康診断証明が認められてからの出社〉と言い渡したのでした。

自分の考えが通らず、精神的苦痛で体調を崩し(ホント?)、無断欠勤、気が晴れたから出社では、どんなに技術があり、知識を持った人間でも周りは認めません。

本人だけが自分は凄い、間違っていないと言い張っても周りのスタッフたちがあきれ顔や渋い顔だらけではとても責任者では無理でしょう。

社長と石田はペナルティを他店舗への降格移動、一からやり直し、その指導は専務が行う、という風に決めました。

それに従うか辞表を出すかは彼次第です。

組織の一員になった以上、ルール・決めごとを守りながら信念やこだわりを訴えていかなければなりません。

ルール・決めごとを守らなければ、どんなに主張に理論的正当性があっても〈我がまま〉と言われても仕方ありませんね。