石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その101

遠い鹿児島から、また嬉しいお便りがありました。

随分前に日経レストランの「店舗クリニック」の担当コンサルタントとしてお邪魔したカフェの経営者様です。

小さなお子様を抱え、母としての仕事、一家の大黒柱としての使命、社員への責任、全てを肩に背負いながら奮闘しても、なかなか売上で結果を出せない悩みに対するアドバイスを求められたものでした。

帰りの飛行機の時間がギリギリになるまでアドバイスを続け、別れ際には涙で手を振ってもらった記憶は今でも忘れません。

今後3ヶ月、持つかどうかという状況で帰ったため、気にしていましたが、忘年会、歓送迎会などの企画時期になるとその企画のお葉書が送られてくるようになり、もう4年でしょうか。

お店の活気が伝わってくるような企画の内容を見ていると「頑張っているなあ、偉いなあ」と嬉しくなってしまいます。

方向さえ間違えなければ、努力が報われるのにという経営者はとても多くいらっしゃいます。

石田の仕事はそこを参謀役で助言する事なんだろうと改めてお葉書をいただいて思ったのでした。

 

『メニューは経営者自ら食べるべし』

「先生、大変なんですよ、ここ3~4ヶ月で20%も落ちているんです。うちの商品がおかしいんじゃないかと思うんですが、チェックしてもらえませんか?」

調理経験がなかったり、自分の舌に自信がない社長さんはたくさんいらっしゃいます。

また、他店の食べ歩きや味に評判の店などを食べ歩かない限り、自分の店の味に慣れてしまって、微妙に落ちていくレベル低下に気がつかないことも多々あるものです。

このことは見た目の盛り付けでも言えることです。

「社長、これはまずいですよ」。

要請に応えて2~3品を持ってきてもらった石田は食べる前にこの言葉を口に出しました。

明らかに貧弱な見た目だったからです。

業種業態によりCPがボリュームで明らかに劣る場合、その後の味にも影響します。

悪い心境で食べる食は美味しくないのは皆さんご承知のことだと思います。

ただ、今回のケースはそれだけでなくメインの食材のレベルの低さも発見され、業者への点検にまで及びました。

「こんなレベル低下が放置されているのは直接的には料理責任者の責任ですが、社長の動きが後手に回りましたね。

落ち始めたのは3ヶ月前ぐらいということですが、影響が数字に出ただけでレベルの低下はもっと以前から始まっていたはずです」。

小さなほころびを、「まあ、こんなこともあるさ」「たまたまだろう」などと思っていると大きな『まさかの坂』が現れて登りの苦難がやってくるのです。

ただこの店の場合、石田も顧問としてしばらく食べていなかったことを大いに反省いたしました。

まだまだですね。