石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その112

ウチに戻ると上着を脱いで最初に手を洗います。

長年、「帰ってきたら最初に手洗いしてね」と言われ続け習慣になっています。

酔っぱらって帰ってそのまま寝ようとしようものなら、「汚ったない、お風呂入んなさいよ、ふとんが汚れるでしょ」とダメ出しされます。

先日は気持ち良く缶ビールを飲もうとしたら「缶の口、洗った?」とすかさず突っ込まれたので、缶ビールを洗いながら「なんだか、気がそがれて・・・」とぶつぶつ言っていると、「何言ってるの?缶の口は何がついてるかわからないんだから、不衛生でしょ」と怒られました。

「あんまり、神経質すぎるとストレスが溜まるよ。普通にしたいなあ」。

「え、普通のことよ」。

3秒ルールとか言って、落ちたものでも、すぐ拾えば食えると言いながら過ごした時期がある石田の普通はもう通用しないのかもしれません。

でも私も顔をしかめることが・・・。

 

『お客様は細かい行動を見ている。意識せよ』

新幹線や飛行機などで地方に出かける時は、ちょっと早めに自宅を出る石田ですが、朝早い時は、駅のカフェなどでモーニングを取りながら頭を整理します。

先日もそのつもりで駅の〇ィド〇〇ンスに入りモーニングを頼みました。

前会計にいたスタッフであるその中年女性はベテランのようで、他のスタッフに指示を出しながら忙しそうに私の前にやってきました。

「ドリンクは何になさいますか?」

いつもはコーヒーと反射的に答えるのですが、前日に健康に関する雑誌のコラムを読んだ石田は、1日一杯の牛乳が体に良いという内容を思い出し、アイスミルクと注文したのでした。

「かしこまりました」と答えた彼女、グラスを用意したのはよかったのですが肝心の牛乳がありません。

冷蔵庫から新しいパック牛乳を取り出しました。

(お、オニューじゃないか、ラッキー、新しい1番もの、なんだかいい一日になりそうだ)。

ポジティブ石田は勝手に今日を占ったのでした。

ところがその後がいけません。

パックの両端を開いた彼女が次にやった行動は注ぎ口を開くためにカリカリ、カリカリ爪の先で引っ張り出しています。

(オイオイ、開き方知らないのかよ。

そのカリカリの爪先のあたったところから俺のミルクは注がれるのかぁ。

うわぁ、さすがにちょっと気持ち悪いぞぉ)。

心の叫びが鳴りやまぬうちに「はい、お待たせしました」と言われ「ガムシロップ、ストローはそちらからどうぞ」とたたみかけられたときは、もう次の人が控えていることもあり、席に向かっていました。

席についてからもミルクを口にするたび、カリカリ映像が頭に浮かび、

(なぜ、オイラはあの時注意しなかったのだろう。

あの爪に細菌がいたら腹が痛くなるかも、ホットミルクに変えればよかったなあ。

ベテランで他のスタッフを注意しているくせに、なんだあの女あぁあぁあぁ・・・)。

ぐちぐちとその店を出るまで堂々巡りの時間を過ごしてしまいました。

ラッキーと一瞬思ったことが覆されたため余計にそうなったものと思われます。

残念な1日の始まりになってしまいました。

私たちサービス業の行動は何気なく習慣でやっていることがお客様から見ると嫌悪することもあるのです。

今でもあのおばちゃんのカリカリが家で牛乳を飲むときによみがえります。

ウチの山ノ神がパック開けるのを牙で開けたとしても普通に飲めるんですけどね。

あ、神はそんなことはしませんが。

皆様くれぐれもご注意を。

ではまた。