石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その117

「今日さあ、○○社長のところの社員がね・・・」

家に帰って、ウチの神様に話を始めた時のことです。

「だまってもらっていいですか?」

「今、ドラマ見ているから」

「おまえなぁ、世間では夫婦の会話がないって悩んでいる奥さんいっぱいいるんだよ」

「こんないい旦那いないだろう」

「会話だらけの明るい家庭で」

「シッ、だまって!」

「テレビ聞こえないでしょ!」

「今、おもしろいところなんだから」

「はい」

「~していただけませんか?」という注意フレーズ、なんだかよく聞くような気がします。

意外と腹も立たず、つい聞いてしまうのは私だけでしょうか。

「~してください」と命令形ではなく、依頼形というか、頼まれている印象になるので、受け入れやすくなるのでしょう。

「課長、そのオヤジギャグやめてもらっていいですか?」

酒の席で部下が上司に向かって言っているのを聞いたこともあります。

雰囲気を壊さず(空気を変えず)、かえって和やかにさえなるように感じます。

それでも意に反さず注意を無視すると私のようにピシャリとやられるのですが。

そういえば、先日、電車のなかでもこんなことが・・・。

 

『時代が変われば・・・、それを理解するのも経営者』

先日、JR山手線に乗り込んだ時のことです。

ドアが閉まる寸前、カップルの男女がドアにぶつかりながら飛び込んできました。

よくある光景で、案の定、車内アナウンスが聞こえ始めました。

ところがそれは予想と違ったものでした。

「今乗ったお客様、発車間際の駆け込み乗車、やめてもらっていいですか?」

「他のお客様に迷惑で、あと、かなり危険なんで」

かなりの「か」にアクセントがある若者言葉でした。

「発車間際の駆け込み乗車はたいへん危険です、おやめください」

のフレーズが耳にタコの乗客たちは一瞬唖然としましたが、クスクス笑う人の方が多く、私が見る限り、顔をしかめる人はいませんでした。

いつもこの言葉が流れるようなら問題も起きるかもしれませんが、恐らく何度も何度も同じ言葉をマニュアルどおりに発していた彼は、とうとう本当の感情からの言葉が出たのでしょうね。

客側にもそれが伝わったのでしょう。

「おやめください」の命令形ではありませんが、気持ちが伝わるため、ずっとインパクトがありますね。

「定番マニュアルどおりにはもうしません、基本はもちろん変えないけど、時代とともに変えるものはあっていいと思います」という社長が増えている気がします。

居酒屋などでは茶髪やマニキュアなど身だしなみさえその個人の個性をOKしているケースもあるようです。

石田は最近よく皆さんに心情接客という言葉を使いますが、まさにホントの心を出しながらのサービスは、行き過ぎれば不快を生む場合もありますが、関係性にお約束ができあがれば強い絆になるのです。

時代はそれを求めているはずで、マニュアルのお約束は辟易の時代になっているといっていいでしょう。

「ロボット接客、やめてもらっていいですか?」

ではまた。