石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その128

「具合悪い、薬用意して、あ、水はぬるま湯な。

風邪だな、たぶん。」

「風邪?

遅くまで飲んでいるからじゃないの?

いい加減、そろそろ身体のこと考えて控えた方がいいんじゃありませんか。

飲み過ぎ食べ過ぎなんだから。」

「ちっ、説教聞くために風邪ひいたんじゃないの。

風邪ひいて具合悪いのに説教される俺は可哀そうだな。

ビール、ビール頂戴!」

「ビール!?

具合悪いのにビール!?

バカじゃないの。」

「バカじゃぁない~。

おとなしく寝ようと思ったのに、飲まずにいられなくしたのは君。」

「具合悪くても減らず口は変わらないのね。

イラつかせる天才かと思っていたけど、減らず口も天才だわ。

っていうか昔から変わらないわねぇ。」

「君は大きく変わったよね。」

「何よ!?

何、見てるのよ!」

またまたくだらない出だしで、すみません。

ビジネスでは変革(イノベーション)、新しい切り口、発想と、今を変えていくことは挑戦と捉え良いこととされますね。

ただそのやり方が間違うと・・・。

 

『お客様の心の目を考え変化しよう、見てくれではなく』

先日、いつもと同じように地方巡回で、顧問店の社長に予約していただいたホテルに泊まりました。

「知り合いのホテルオーナーがホテルを建て替えました。

デザイナーを入れて新しくなって素敵になっているらしいですよ。

そこを予約しました。

温泉入浴剤プレゼントプランなのでお風呂でゆっくりしてください。

部屋はツインです。」

新しくて広い部屋、いいお湯、期待してホテルにチェックインしたところ・・・。

なるほど、外観が素敵です。

ところが良かったのはそこまででした。

フロントで名前を言うと宿泊者カードに記入するよう言われたので、住所から書き始めました。

すると「お名前だけで結構です」と。

だったら先に言ってよ。

ふと横を見ると入浴剤が〈ご自由にお持ちください〉と山積になっています。

ボクの入浴剤プレゼントプランは?

係りから入浴剤が渡されることはありませんでした。

全員自由かよ。

部屋に入って「えぇ~!?」

ツインとは名ばかり、狭いシングルベッドが隙間なく並べられ、これならツインでなく、シングルで動ける方がまし。

床は畳敷き、玄関で靴を脱ぐのですが、上着を脱いでハンガーを探すと玄関の鏡の前に並んでいます。

洋服を全部そこに掛けると鏡が使えません。

ソファーは座りにくく狭い二人掛け、かなり仲の良い二人用で色は真っ赤ッカッカ。

トイレは暗く自動洗浄だがボタンがよくわからない。

洗面所の天井は低く頭の真上に照明があり、子供のころ下から懐中電灯を顔に当てて「うらめしや~」ってやった逆バージョンで石田の顔が不細工に映ること。

この照明だと女性は化粧しづらいでしょうね。

タオルは・・・。

まあ、キリがないくらい、そこで過ごす人のこと、使いやすさを考えていない。

オーナーは一度でもここに泊ったんだろうかとアンケートに書きたかったがやめました。

もう次は来なければいいですから。

自分の店の商品・サービス・店センスを自分が経験することなく、成績の悪さを嘆く方がいますが、是非自分の店を一人のお客として経験してみるべきですね。

新しい気づきがあるはずです。

それを変えていくことがイノベーションでもあると思うのです。

ではまた。