石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その130

「あなた、またタイに行くの?

いいわねぇ、楽しくて。」

「あのさ、遊びに行くわけじゃないのね。

仕事なんだから。」

「あたしも、行きたいわぁ。

顧問先の社長さんなんか、あちこち旅行に奥さん連れて行ってるんでしょ。

いいなぁ。」

「あのさあ、けっこう君も行っているでしょ。

忘れているわけ?」

「いつ行った?

毎日ウチで苦労していると楽しみがないとね。」

またまた、奥神様がのたまうのを聞きながら、(行ったの、つい数か月前でしょ。

苦労って?そんな苦労しているの?)

という言葉を飲み込んだのでした。

「苦労しているもんね、そうね、考えとく。」

苦労はなかなかヒトにはわらないものです。

でも本人は主張したいものなのですね。

経営者や店長の皆さんもいろいろと苦労していると思いますが、その苦労って・・・。

 

『お客様は苦労を理解しようとはしない。結果の評価をするだけ』

お店を経営していれば様々な苦労がありますね。

商品開発の苦労、現状商品のブラッシュアップ、接客のレベルアップ、厨房・ホールのオペレーションの効率化、居心地感の良好さの維持、食材の仕入等など苦労は絶えることがありません。

「先生、これだけ手間かけて苦労しているんだから、もっと単価もらわないと合いませんよ。

材料も上がっているし、値上げしてもいいんじゃないですかね。

値上げすれば売り上げも上がるし、原価も下がるし、うまく金もまわって楽になりますよ。」

「あのね、あなたの手間や苦労をお客様がわかっていたら、今もう楽に金が回っているはずなの。

繁盛してお客様を捌ききれなくなってから言ってちょうだい。

そこまでお客様が来てないということは商品もサービスも店の居心地感も普通か良くない評価だからなのね。

単価を上げて多少、お客様が減っても、利益が確保できる安全圏の客数・売上が見えてからそのセリフ言ってくれる?」

若手の経営者は商売の歴史が浅い分、経営政策も浅くなりがちです。

まして、偶然、流行の業態で当たったり、ブームの商品が当たったりすると安易に考えがちです。

こういう方は壁に当たると都合よく自分目線で施策を行ったりして失敗を繰り返すのです。

経営者になって苦労するのはあたりまえです。

お客様は商品もサービスも目の当たりにしながらその一瞬で評価するのです。

向こう側にある経営者の苦労など評価しません。

ベテランの経営者がこんな風に石田に言ったことがあります。

「極端に言うと私、24時間、店のこと考えていますよ。

だって夢にも出てきますから。

こうしたらいいか、ああしたらいいか考えていると時間が足りません。

それを形にして実行すると、そこからまた問題が見えて、考えてしまいます。

終わりがないんですよね。

でもね、そのことを苦労と思ったことないですよ。

だって自分で考えて自分でやれるんですから。

それで結果が出るのですから、楽しいかもしれません。」

繁盛店社長の言葉、恐れ入りましたですね。

皆さんも「考え・実行」を繰り返し、苦労が楽しみに変わるぐらいになったらいいですね。

ではまた。