石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その131

ここのところ相次いで、「日経レストラン」「ぐるなび」さんからの取材がありました。

「今回のテーマはやっぱり先生じゃないと・・・」

な~んて言われると、

「あら、石田の出番はまだまだあるわけね」と思ってしまうのですが、スタッフから

「世の中、どんどん進んでいるんですから、安心してもらっちゃ困りますよ。

新人コンサルどんどん出てきているんですから」とクールなツッコミが・・・。

この仕事をして30年にもなると、次世代の飲食店が次々に現れることや、それが加速度的に入れ替わるのが目まぐるしく、なんて忙しい業界だろうと思うのと同時に、自分も〈お役御免〉にならぬよう日々勉強、日々精進。

トレンドを追いかけ研究もしなければと思う次第です。

ただ反面、不変の法則を後輩につなげなければとも思うのです。

 

『忘れてはいけない変わらぬ基本の考え方』

百年ほど前の料理人の実話が小説になり、今またドラマ化された「天皇の料理番」が放映されています。

少年のころ初めて食べたカツレツに大きな感銘を受け料理人の世界に入り、二十六歳で宮内省(庁)大膳司厨長つまり天皇の料理番になった秋山徳蔵のことです。

華族会館(元鹿鳴館)修業時代の掃除や皿洗い、鍋洗いに嫌気がさして、彼が問題を起こした時、シェフであった宇佐美氏に言われたことがその後の彼の考え方を変え、人生を変えたのかもしれません。

「小さな手抜きが大きな失敗になることがある。

そういうのは〈真心がない〉。」

「料理は真心だ、技術は追いつかないことがある、素材は望み通りにいかないこともある。

けれど、真心はいつでも最高のものを出すことができる。」

「爪を短くすること、鍋を丁寧に洗うこと、皿を磨くこと、包丁を整えること、そういうことは確実にできる。

それさえできない者に、まともな料理ができるとは思えない。」

そして下働きばかりで料理を教えてくれないことに対する抗議に答えとしてこんなことも言っています。

「教えないのは覚えないからだ。

親切に教わったものより人は手前で苦労して覚えたものの方が大事にする。

だから教えない。」

自分から見て、考え、探究しろということでしょうか。

彼はその後、毎日仕事が終わった後にフランス語の原書を抱え、自腹でフランス語を学び、これまた自腹でフランスに渡ります。

志した仕事に対して精一杯の勉強と行動を起こす。100年以上前の話と片づけることなどできませんね。

〈まごころ〉〈探究〉。

今の飲食業界を含む私たち全てに必要な考え方ではないでしょうか。

ではまた。