石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その147

20年以上も前のことです。

当時、繁盛店を数店舗作ってバリバリ仕事をこなし、輝いている社長を交えて会合を開いた後に、若手の経営者がこんなことを言いました。

「すごい社長がいますね。

あの方が輝く太陽なら僕は月って感じですね。」

当時、在籍していた会社が上場を目指し好調だった私は驕りもあって、

「何言ってるの?

月は太陽ほどじゃないけど皆が注目している存在、君はまだ宇宙の塵だよ。」

未だ業界の扉を開けたばかりで、飲食店のことは素人の社長だった彼を叱咤激励するつもりで言ったのですが、馬鹿にしているような物言いは後で反省しました。

ただ、なぜそんな言葉を言ったのかというと輝く太陽である社長の普段の努力を知っていたからです。

店舗、および商品のチェックを怠らず、厨房が汚れていれば皆が帰った後に清掃を自ら行い、事務作業もこなす。

毎夜帰宅は午前2時を過ぎる生活を十数年つづけて出来上がった成果に他なりません。

店を作るのは誰でもできます。

その後、お客様の支持を得るためには知識を得る勉強と実践の両方の努力が必要なのです。

【騎士遍歴の唄】

表題はミュージカル《ラマンチャの男》の曲です。

♪道は究めがたく、腕は疲れ果つとも、遠き星を目指して、われは歩み続けん・・・。

今年も飲食店の扉を開けようとしている多数の「未だ宇宙の塵」の社長とお付き合いをしていますが、将来の輝く太陽社長を感じさせる方が何人かいらっしゃいます。

その方々の共通点を挙げるとすれば、

計画をしっかり立てスケジュール管理をしている、

気が付くことはいつもメモを取っている、

金銭管理は数字に興味を持ち常に把握している、

部下一人一人の話を真剣に聞き(場合によっては私生活も)状況を把握している、

上下関係差異なく気配りを行っている、

家族を大切にしている、

約束を守る、

時間を守る、

責任は最後自分がとるのだという覚悟がある、

問題を見つける努力をしている、

問題を先送りしない、

問題を人のせいにしない、

問題を人任せにしないetc.

つまるところやはり人間力・人間性でしょう。

そうは言っても完璧な人間などいるものではありません。

自分の欠けたところを冷静に判断して、それをやり遂げようと努力するところに本当の人間力が育っていくのでしょう。

今年も夏が終わり、残すところ3分の1となりました。

自分チェックもいいのではないかと思うのです。

新たに飲食業の扉を開ける社長、そして道半ばの社長達のはるかな旅路に幸多くあれ!

ではまた。