石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その181

「床屋に行ってきたけど、あの床屋はダメだな。」

以前行ったことのある床屋さんに行ってきました。

「あら、前もそんなこと言ってなかった?」

「そうなんだけど、接客はいいんだよ。

お世辞はうまいし気持ちよく過ごせる。

半年もたってるからうまくなってるかなと期待したんだけどね。

切る時痛いし、はさみは変にあたるし、ホントへたくそだ。」

「あらあら、男の人ってどうしてそうなんでしょ。

あたしなんかそんな目にあったら2度と行かないわ」

「感じのいい人だし、今度はと期待したんだよ。

オイラは優しいの」

「でも、見た目はいつもと変わらないわよ。

それに切る毛がまだ残ってるんだからいいじゃない。

あはははは。」

「・・・。」(こいつ、いつか殴る・・・)

 

【接客は重要、商品も重要。2本柱であることを忘れないこと】

飲食店は、接客と商品の2本柱(ホントは店づくりを足して3本柱)ですが、お客様と直接的に接するという点ではこの2つが大きなポイントですね。

たまに、「私はこの業界で接客中心に生きてきて自信があります。

たいていのお客様は私と接すると好きになってくれるんですよ。

商品はそこそこ不味くなければ大丈夫ですね」という経営者がおられます。

この発言に対して、私はこんな風に答えます。

「お客様と素晴らしいコミュニケーションを築けるのは、優れた技術ですから他店に対してアドバンテージがあるのは確かですね。

ただし、そのことを過信したり、頼ったりして、商品開発や改良、店づくりや店舗アピールを疎かにすると必ず売上と利益は落ちていきますよ。

お客様は新しい商品や品質に対してどん欲に興味をもって我々の業界を見ているからです。

素晴らしい接客を支持はしてくれますが、品質が落ちたり、代わり映えしない商品が並んでいるだけの状態が続けば、他に目がいってしまうものです。

この店が好きだと言いながら他店に浮気をしてしまうものです。

その分だけ落ちていくわけです。」

お客様はそれぞれの事情(職場の転勤、学校の卒業、新居への引っ越し等々)があるため、信頼を築いた常連さんでさえ年間5%は消えてしまいます。

大手企業が移転して、40%以上のお客様が減った例もあります。

新規客を常連に変えていく優秀な接客の手段は、来店いただけなければ、宝の持ち腐れです。

「先生、ウチのスタッフは店長以下ホントにお客様と仲良く接してくれてありがたいです。

ホールは安心です。

おかげで、私は厨房で商品に集中できます。」

繁盛店の社長の言葉です。

こんな言葉を聞くと私は安心します。

接客と商品は車で言えば両輪なのです。

それを居心地よく味わえる環境が店づくりであり、そんな素敵な場がそこにあると知らしめるものが店舗アピールなのです。

無敵の接客があるなら、無敵の商品、無敵の店創りも目指していただきたいですね。

ゆめゆめ油断をしてはいけません。

ではまた。