石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その208

 

「緊急事態宣言が解除されたら、随分お帰りがおそくなったこと。

ワクチン2回打ってるからといってうつらないわけじゃないのよ。

変なところに行ってるんじゃないでしょうね。」

奥神様が帰宅したとたん説教です。

「あのねぇ、オイラの仕事柄、外食がどうなっているか、街の臨場感を肌で感じ取るのは大切なわけよ。

それに、社長さんたちも、それが情報・勉強になるのだから、お付き合いも大事なのよ。」

「どうだか。あなたが付き合わせているんじゃないの。

手洗って、うがいして、シャワーしてちょうだい。」

「手洗って、うがいして、シャワーってトリプル除菌かい。

バイ菌だな、オレ・・・。」

緊急事態宣言が10月1日に解除されて、飲食業界はほっとしていますね。

ただし、各自治体の対応はまだ慎重で、東京のアルコールの提供は8時まで、営業は9時までとなっています。

ひとまず、先行きの希望が見えてきましたが、予断を許さないコロナの第6波への懸念は消えていません。今後の推移を見ながら考えていきましょう。

 

 

【アフターコロナは未定、「WITHコロナ」を前提で考える】

 

緊急事態宣言があけたからといって手放しで喜べないということを、この2年近く戦ってきた我々はわかっていますよね。

政府は4日、新型コロナウイルスワクチンの2回接種を完了した人の割合が全人口の6割を超えたと公表しました。

飲み薬も早ければ年内にも日本で実用化する見通しとのことで、少し光が差してきた感じですが、飲食業界がコロナ以前に戻るかは首をかしげざるを得ません。

緊急事態宣言の解除が発表されてから1週間、街の様子はどんな感じか、視察を繰り返しました。

各繁華街が軒並み20数%以上、人出が増えていて、飲食店が盛況だと、まるでコロナ前に戻ったかのように報道しているメディアもありましたが、私がまわった限り、そうではありません。

主な繁華街である〈渋谷〉〈銀座〉〈池袋〉〈水道橋〉と夜の様子を見て回りましたが、1階の路面店でも、若者の数は確かに増えている印象ですが、いわゆる、大人の方々の数はかなり少ない印象です。

ビルの上階の店などは閑古鳥が鳴いている店が少なくありません。

ターミナル駅近の大箱の居酒屋でも、席が1割も埋まっていない店もありました。

やはり、大人の方々は慎重なのでしょう。

それと、企業も突然リモートの働き方を変えるわけではないですし、リモートのうま味を知った企業は今後も変わらないでしょう。

視察している中で印象的な場面に出合いました。

大手チェーンの居酒屋と個人店が道を隔てて向かい合って営業している場所があったのですが、お客様の入りが対照的だったのです。

誰もが知っている大手チェーンの店が閑古鳥で、個人店がお客様でいっぱいです。

価格は個人店の方は洋食系で若干高い印象があり、大手チェーンはお気軽和食系ですが、見た目は居酒屋として大きな差はありません。

早速、入店してみることにしました。

入店して15分でそのわけは判明しました。

店主の夫婦二人が店の中を活気よく動き回り、声をかけている姿がお客様と近いのです。

近いというのは単なる距離ではなく、心の距離が近いのです。

私たちの後からやってきたお客様の多くが、挨拶から常連だとわかりました。

商品もこの店ならではの品揃えで個性的でした。

以前から、皆さんに申し上げてきた3Fがこの店にはあったのです。もう一度思い出してみましょう。

1Fファミリア(親しみやすさの追求)、2Fファン(スタッフ・商品のファンづくり)、3Fフレッシュ(食材の選定・非日常の販促・商品開発)の3F営業です。

感染予防対策とともに、これらをしっかり実践してきたお店に、お客様は安心と安全をより感じられるのではないでしょうか。

今後、段階的に営業の制約を解除していくことを当局は発表していますが、Withコロナの状況はしばらく続くでしょう。

辛抱で励んでいただきたいと思います。

ではまた。