石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その211

奥神様がご機嫌斜めで病院の検診から帰ってきました。

「すごく嫌な気持ちになった。

あそこの病院は2度と行きたくない」

かなりご立腹です。

「病院なのに、ぞんざいで優しさのかけらもないのよ。

病院に入ってすぐ受付だけど、こんにちはの挨拶もないし言葉もきついのよ。

診察後、先生が受付に“終わった”と声かけてくださいって言うから、受付に向かったら、“そちらに座ってお待ちください!”って怒られたのよ。

おかしいでしょ。

その人の爪、長~いつけ爪でキラキラなのよ。

病院であり得ないわ。」

「かわいいネイルですねって誉めてやれば変わったかもよ。」

「はあ!?なんで私がご機嫌取りをしないといけないの。

病院でネイルアートってどうかと思うわ。」

最後はネイルアートに攻撃が集中しましたが、始まりは受付の悪印象から始まっていたのでしょう。

癒されるべき場所で、心乱されるというのは我々の業界でも当てはまる悪例かもしれませんね。

皆様のお店でも起こっていないでしょうか。

【付加価値は安全性を犯してまで行く価値に高める】

〈緊急事態宣言〉が解除されてお客様が戻ってきているお店も多いことでしょう。

それは飲食店が単なる空腹を満たす場所ではなく、家族の団欒や仲間とのコミュニケーションの場、アニバーサリー空間としての晴れの場、ライフサイクルの中のサードプレイスとしての癒しの時間と空間の提供の場として、お客様が認識してくれているからでしょう。

ありがたいことですが、油断は禁物です。

長引くコロナ禍での生活でお客様のライフスタイルは大きく変わってきています。

1番優先されるのが「安心安全」ですから、言い換えれば安全性を犯してまで行く価値があるかどうかを見極めて来店されるということなのです。

その上で、“ギアアップしなければ選択される店にならない”と考えるべきではないでしょうか。

ギアアップに関して、飲食店三本柱を考えてみましょう。

まず、商品に関しては、一昔前の職人がよく口にしていた「旨ければ客が来る」というのは死語になりつつあります。

最近の飲食店は“美味しい”のは当たり前。

そのうえで、“デザイン性”や“映え”そして“ストーリー性”“サプライズ感”などが加わって評価されるのです。

「味のわかる人は、皆、美味しいと言ってくれるのになかなか売り上げが上がらない、

ここら辺の地域はダメ客だらけ、出す場所を間違えました」という経営者に時々出会いますが、私はいつも同じ答えを返します。

「間違えてるのは、あなたです」と。

くれぐれも美味しければ客が来るなどと考えないことです。

次に、店内の居心地感に関しては、安全性の確保は当然としながら、お客様個人の感覚を癒す工夫を語れるくらいの配慮が実在することを心がけないといけません。

お客様目線が店内どの場所に充てられるのか判断するためには、1席1席座ってみることです。

その場所から何が見えて、それが良いのか悪いのか、照明の当たり方がどう気持ちに反映されるのか、聞こえる音がどう感じられるのか、そこまで考慮している店なのだと、全スタッフが言える様な体制づくりがワンランクアップの店創りを実現するのだと考えるべきです。

最後に、接客サービスに関しては、マニュアルにとらわれない“心情接客”が一段と威力を発揮するフェーズに入ったとみるべきです。

冒頭のクリニックの例がわかりやすいですね。

先生が商品ならその商品の価値を上げるのも下げるのも接客次第と言っても過言ではないと知るべきです。

人手不足の中、辞められたら困るなどと言っているようでは、未来はありません。

働く方々の未来のためにもとことん会話し、教育するべきです。

教育の根源になるものは共有理念です。

理念を共有しながら楽しく働くにはどうするかを経営者は考え、そしてスタッフとコミュニケーションを通して話し合うのです。

働くことが喜びにならなければ、お客様を喜ばすことはできないでしょう。

この文章を書いている今、東京は変異株オミクロンの感染者が1000人を超えそうだとのニュースが入ってきました。

まだまだ、増えそうな気配で政府の動きも気になるところですが、情報にはアンテナを張って、お気をつけてお過ごしください。

ホントうんざりですが。ではまた。