石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その216

「エリザベス女王が即位70年ですって、すごいわね。

96歳ですって。」

「そりゃ、凄い。

仕事し続けているのは脅威だな、尊敬するね。

それに加えて長生きしてるのもすごい。

オイラはできるかなぁ、仕事と長生き。」

「ムリね、今の生活習慣でそのお腹周りじゃ。

お酒も控えないと頭も怪しいわ。」

「そりゃ困るなあ。

大器晩成型のボクは長生きしなきゃ、恩恵が短い。」

「希望や気持ちだけじゃ、長生きできないのよ。

わかってる?

小器ボケ型になったら最悪だわ。」

「ボケなし、長生き型目指します。」

「それもなんだか嫌だわ。」

「・・・。」

継続は力なりと言いますが、店や会社が長く続くということは大変なことですね。

ましてやこんな時代に遭遇すると・・・。

【100年を目指せ、継続の長期化はブランドを確立させる】

6月を迎え、新型コロナ感染の流行はかなり収まってきて、街の様子はコロナ前にだいぶ近づいてきました。

ただし、この2年半における消費者の変化は、簡単には戻るわけもなく、飲食店の利用も一気に戻るなどという状況ではありません。

景気が上向く気配がなく、インフレが進むスタグフレーションの雰囲気が感じられる困った社会情勢になってきました。

今後、政府の飲食店支援はほぼなくなっていくでしょう。

正にここからが本当の生き残り戦です。

力尽きた飲食店の後に新規の店が姿を現すという景色は珍しくありません。

ここがチャンスと考える人が多いのも弱肉強食の資本主義社会では当然の現象です。

コロナ前でも我々の業界は新規出店の3年以内に50%の店は閉店し、10年以内には90%の店が閉店していたわけですから、コロナ禍によってそのことが加速しているということでしょう。

既存店にとって新規店舗は苦々しい存在ですね。

どんなにつまらない店でも当初はお客様を集めるからです。

お客様の心理は“浮気者”、新しい店には1度は行くのです。

その1度は既存店から少なからず客数を奪います。

ただし、10年以上地域に根差した店はその影響が極小で収まります。

お客様の優先順位が低い店順で新規店舗に奪われるので、長く実績がある店は優先順位が高いことが多く影響が少ないのです。

(短期で好評を得ている例外はありますがね)

そして、その継続が長期に及べば、信頼度と認知度が地域で高まり、ブランド化していくのです。

そうなれば、お客様は忠実なファンとなり、インフルエンサーも現れることになり、ブランドを自覚するようになった従業員はプライドを持って仕事を行うため、ミスや勘違いした不平不満口にしなくなるのです。

先日、顧問店の社長とのミーテイング後、お気に入りのお店に伺ったのですが、カウンターの中にいつもいる職人のマスターがわざわざ座敷にやってきました。

「本当にいつもありがとうございます。

おかげさまで、今月、25周年を迎えました」と挨拶されて、“25周年・感謝”とプリントされた豆菓子の袋をいただきました。

「そうですか、25周年おめでとうございます。

すごいことですね、これからも頑張ってください」

心からそう激励しました。

いつも変わらぬ親しみのあるスタッフのサービス、技を感じる商品、常に現れる新商品、季節商品、時々行われるお客様への販促、よく頑張っているなあと常々思っていましたが、だからこその25年なのだと納得したのでした。

(同席の社長の店は28年でしたがそれはその場では言いませんでした)

長く修羅場もこなしながらここまで来た皆様もここからが正念場です。

100年目指して頑張りましょ。

負けないでくださいね。

ではまた。