石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その218

「おーい、珈琲」

「珈琲、珈琲。

おーい。」

「珈琲は返事しないのよ!!

そういう時はなんて、言うのかしら?」

「あ、珈琲をください。

お願いします。」

「まったく、なんでそうなのかしら。

ヒトにモノを頼むときは相手を考えながら頼みなさいよ。

何度言っても変わらないわね。」

「わかったよ、ハイハイ。」

「そうじゃないでしょ?」

「あ、わかりました。

気をつけます。

美味しい珈琲をよろしくお願いいたします。」

妻である奥神様でさえ、頼み方を間違えるとへそを曲げるわけですから、仕事とはいえ部下にも気をつけなければなりませんね。

【経営者の仕事はスタッフには見えないことだらけ、見える指示や行動は気を使おう】

経営者の仕事は多岐に渡りますね。

資金繰り、銀行や業者との交渉、メニューの考察、仕入れ先の選定、宣伝、帳簿付け、給料計算、支払業務等々、それに加え営業もこなしているという方も多いでしょう。

一般の社員やP/Aの方々は、作業員として一緒にやっている経営者の姿が全てだと思っている方々も少なくありません。

つまり、大変な仕事量と精神的苦労をして職場を守っていることを理解してくれる方は、ほとんどいないのではないでしょうか。

大半の方は、自分に対しての経営者の指示や口の利き方、行動のあり方で、職場や経営者を判断しているのです。

あるレストランの経営者が嘆いていました。

「まいりましたよ、新人が入ったので、早く戦力にしたくて直接、調理の指導をしていたら、他の社員が私のところへ来て、〈僕にはあのように優しく教えてくれなかったですよね〉って言うんですよ。

びっくりして、そんなことはないと説明したら、理解はしてくれたのですが、その後に〈それじゃ、給料上げてください、コロナで大変な中、頑張ってるんですから〉って、言ったんです。

びっくりですわ。

コロナで頑張ってるのは、こっちだっつーの。

何か私、悪いですかね。」

「何も悪くないですよ。

ただし、<そいつが変なだけ>で片づけるのではなく、あえて言うと新人に教える前に、今の人手不足の状況と、教える目的である<早く戦力にしたい>旨を、説明しておいた方が良かったですね。

給料上げてくれは問題外です」と申し上げました。

昨今、社員やP/Aの方々の中には、自分基準の方が増えているようです。

権利の主張が強く、働くことが楽しくてストレスがないことが基準になっているようです。

時代の流れとして悪いことではないと思いますが、その環境を整える経営者は大変な状況です。

待遇や環境になかなか経費もかけられないというなら、彼らに接するあり方を変えていかなくてはなりません。

つまり、気づかいが必要だということです。

〈金払って気を使うのかい〉という声も聞こえそうですが、スタッフがいないと成り立たないのですから、気づかいは必要でしょう。

7月の半ば過ぎから8月を迎え、新型コロナの感染が再拡大して、またまた業界に影響が出始めました。

今回の広がりに関しての飲食店支援は全くありません。

ピークアウトは8月の2週目という専門家の予測がありますが、是非そうあってほしいものです。

欧米では全くとは言いませんが、ほとんど国民はコロナを警戒しなくなりました。

日本もそう遠くない時期にそうなるでしょう。

人手不足の中、その時の彼らリベンジ戦力は欠かせないでしょう。

気を使うのに経費はかかりません。

言葉がけなどを大切にし、口の利き方を考え、乱暴な行動は極力控えてストレスをかけない接し方を心がけましょう。

頑張りましょう。

負けないでくださいね。

ではまた。