石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その219

「もう、邪魔なんですけど。

掃除機かけるから、どいてちょうだい。」

「えっ!抱いてちょうだい!?」

「バカじゃないの、ふざけないで。

洗濯物も取り込むんだから、どけって言ってるの。」

「掃除、洗濯好きだねぇ。」

「綺麗にしてたら気持ちがいいでしょ。

あなたもゴロゴロ邪魔していると掃除機で吸い取るわよ。」

「おいらは綺麗だからいいんじゃないかい。」

「・・・。」

奥神様を怒らせてばかりいる私ですが、家事の大変さは見ているだけの自分でもよくわかります。

毎日同じことの繰り返しで本当によくやってくれていると感謝しています。

飲食店も仕事とはいえ、多くの作業を毎日繰り返し行っているのは頭が下がります。

繰り返すことがいかに重要か。

先日、レストランスーパーママに出会い痛感しました。

【長きにわたる繁盛は基本にあり】

前回、経営者の仕事は多岐に渡る(資金繰り・銀行や業者との交渉・仕入れ先の選定交渉・メニューの内容考察・宣伝広告・帳簿付け・給料計算・支払業務等々、それに加えて営業作業も)ということを書きましたが、先月、驚きのレストラン経営者に会いました。

22席の小さいお店ですが、社員やP/Aは1人もいません。

営業運営をすべて一人で行っているのです。

調理作業・ホール作業を1人で、ランチもディナーもこなしていらっしゃいました。

それでいてお店の中は荒れることなく綺麗に整っているのです。

メニューも料理だけで30品ほどあります。

さらに、店内の空きスペースには、クッキーや手作りパンがディスプレイされ、プライスカードがかわいく添えられていました。

感染防止処置のアクリルもしっかりピカピカです。

「これもママさんが全てやっているのですか?

メニューブックも写真がふんだんに使用されてますが、撮影もしたんですね。」

「はい、1人で全部やりました。

お料理は好きだし楽しいんです。

お客様と話すのも好きですし、お子様が喜ぶのでキャラクターのクッキーやくまさんパンも毎日焼いています。

テーブルPOPは写真の出来が良くないので、作り直しています。」

「今の悩みは、コロナで、お子様連れのご家族が来なくなったことです。

仲良くしていた方の顔を見ることができないのは寂しいです。

テイクアウトはたまに買いに来てくださるんですけど。」

そうです、対症療法のテイクアウトもしっかり取り組んでいて、店外にはのぼり旗も揺らめいていました。

ママさんはつづけて私にこう言い放ちました。

「ウチの店が忘れられてしまったら嫌なので、効果的な宣伝方法を中心に教えてください。

SNSもやっているので、そのチェックもお願いします。」

聞けば、お店は今年で38年目だということです。

感心しながら宣伝手段とその取り組みの仕方、短期的販促とレギュラー販促の方法など、事例をあげながら打ち合わせを行いましたが、熱心に聞いてくださり、「早速、取り組みます」とやる気満々です。

「ところで、1人で大変ではありませんか?」と聞いたところ、こんな答えが返ってきました。

「大変と思ったことはありません、楽しいです。

ただ、お客様に至らなくて申し訳ない時はあります。

なかなか注文が決まらず、調理場に戻れなくて、お料理を焦がしてしまうなんてことがありました。

あははは。」

38年間、お客様に支持され、繁盛してきた理由がそこにはありました。

〈仕事を楽しんでいる〉〈やるべき課題を見つけ解決する〉〈飲食店の毎日の基本作業を怠らない〉等など、営業運営の基本的考え方をしっかりと実践しているのです。

帰り際にトイレをお借りしましたが、思った通り「ピカピカ」でした。エライ!!

スーパーママのように、各地で奮闘している仲間がいます。

頑張りましょう。

負けないでくださいね。

ではまた。