石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その236

「おーい、焼酎はどこだっけ」

「冷蔵庫の横の棚、下から2段目よ。

前にも教えたわよね」

「そうだっけ」

「ボケたんじゃないの。

いやだわ、ドンドンこうなるのかしら、怖い怖い」

「お前が教えた気になっているだけだろ。

ボケたな、怖い怖い」

「お・し・え・た!

おーこわ、ボケに頑固が加わってる」

「・・・」

奥神様との不毛の言い合いは、勝ち目がないので、どちらがボケたかの言い合いは、私が心広く引き下がったのでした。

家庭円満が一番なので、ここは大人の対応というわけです。

すれ違いや、勘違い、覚えが悪いというのはよくあることですが、仕事で頻繁に起きては困ってしまいますね。

ですがそんなことが最近多いような・・・。

 

【学力と世間力は違う、P/Aは基礎生活・礼儀から教えよう】

最近、どうも飲食業界の従業員さんのレベルに格差ができているような気がします。

先日、眉間にしわを寄せながら、ある社長がこんな話を始めました。

「もう、どうしたものか。

先日、常連のお客様から、クレームが入ったのですが・・・」

事の次第は、社長がパントリーで指示をしながらピークをこなしていた時のこと。

「店長、店長来て」という、常連さんの大声が聞こえて、社長が駆けつけると、そこにはアルバイトのA子さんがいて、常連さんは彼女を指しながら、「俺はいつものように、定食のごはん大盛を頼んだんだよ。

なのに、出されたのは普通盛で。

それなのに、この子は大盛だと言い張るんだ。

これは普通盛じゃないかと言っているのに、『いいえ、これが大盛です』って聞かないんだよ」

常連さんの言うとおりで、それは明らかに普通盛でした。

お客様には丁重に謝ってすぐに商品はお取り替えしたそうですが、その間、A子さんから謝罪の言葉は全くなかったようです。

「そもそもオーダーはハンディですから、厨房は伝票通りに作っています。

伝票を確認したら“普通”で打たれていたんです。

A子さんが間違えて“大盛”を“普通”と打っていたんです」

私もびっくりして「ということは、自分のミスをなかったことにしようとして、言い張ったってこと?

すぐわかるのに、浅はかにも程があるね」と言うと、

社長は「でしょう、だから、注意したんですよ。

誰にでも間違いはあるんだから、そういう時は、隠そうしないで、素直に謝ろうね、わかった?っと。

そしたら、何て答えたと思います?

『わかりません』って、言ったんですよ。

もう口をきくのも嫌になって話すのをやめました」と。

A子さんは、その後も、皿を落とす、料理を落とす、洗い場では過去最高に皿を割るなどのミスを繰り返したそうですが、一度も謝ることがないそうです。

有名大学生で成績も優秀らしく、入店当初は大きな期待をされていたようですが、今では誰もがかかわらないように接しているのだとか。

これと似たような話を各地で耳にすることが増えてきました。

おそらく、最近は社会で生きる基本を子供に教えていない、叱らない家庭が多くなっているからではないでしょうか。

誉めて伸ばす、言葉の暴力はモラハラ、子供を大切に、少々の間違いは見逃す、親も共働きなどの生活環境から教育環境以外は放任というような事情と無関係ではないでしょう。

これを書いている最中にくだらないニュースが流れてきました。

食べ放題しゃぶしゃぶ大手チェーン店で従業員数人がふざけて生クリームを無理やり口に流し込むネット映像がSNS上で拡散されたとのこと。

ホントやれやれですね。

我々職場は学校ではありませんが、覚悟して、代わりに社会活動の基本を教えるしかないのでしょう。

それをしなければ被害がこちらに及ぶのです。

大変ですが頑張りましょう。


ではまた。