KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.68

ゴールデンウィークも終わりましたね。

皆様お疲れさまでした。

期間中はいかがでしたか?

立地によって様々でしょうが、繁盛されていることを祈ります。

今回のテーマは、よくある居酒屋での「お通し」について、話したいと思います。

文字のごとく、「オーダー受けました」との合図の1品です。

ここ数年、「お通しいらない」論争もあり、キャンセルもかなり広がりをみせていますが、システム等の説明で、半ば押し売り状態の店舗もまだまだありますね。

強制のうえ、値段と内容が合わない、味や質が悪い、量が少ないといったお客様ががっかりする提供をしているケースをいくつもみてきましたが、今回はまた違ったケースに出会ったので、そのことに触れてみます。

先日4人で行った居酒屋でそれは提供されました。

お通しが、グループの人数分、盛合せでテーブルに置かれました。

しばらく誰も箸をつけません。

女性もいたのですが、彼女は遠慮して手を出さず、男性たちは彼女に遠慮して手を出さず、というわけです。

私が小皿に分けてそれぞれに分配しましたが、何でこんな手間をかけなければならないのでしょう。

このような提供は、店都合以外の何者でもありませんね。

お通しの調理、盛り付けは、忙しい開店準備の時に人手と時間がかかる作業です。

それらを省略するためか、調理の手間まで抜いて、キャベツ盛りのように素材だけを出すお店も多くなっているようです。

お客様を軽く見ているのか、人手不足による苦肉の効率化なのかは暫く静観したいと思いますが、どちらにしてもお客様にとっては困った話です。

仲の良いカップル等ならまだしも、接待や先輩、後輩、会社の上司との食事、男性女性の混合グループなどさまざまなシーンで、皆で一皿では箸ものびないでしょう。

お店側の配慮がまったく感じられませんね。

客層に合った提供方法を取り入れないと、押し売りの上、食べていない物まで料金を支払うシステムは最悪の印象になってしまいます。

料金を頂くのですから、その自覚を持って頂きたいです。それこそが、サービス業界の必要な、気配り、おもてなしでしょう。

外国人観光客なども、今後も更に増えていくでしょうから、システムが理解しづらい、「強制的な前菜」だと非難される「お通し」に納得していただける説明ができるのか。

店都合では無く、お客様の顔を見てのサービスに取り組んでいきましょう。

今回は、お通しに関して話しましたが、取り皿の交換や料理の取り分け等、お客様の身になる親切、思いやりについてのミーティングを時には実行してはいかがですか。

スタッフから、多くの意見が出るでしょうし、スタッフ自身が考え発言することで自覚も生まれるでしょう。

これからの季節、日々の気温変化も激しいでしょうから、スタッフの体調管理にも気を配り、何よりも読んでくださっているあなた自身の体を大切にしてください。

最後に、ABC分析で、お通しがトップクラスの店舗は、特に要注意ですよ。