KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.82

各地で過去に経験のない猛暑の日々が続いています。

自分も経験があるので、うだるような暑さの厨房で毎日の業務を過ごしている皆さんには本当に頭が下がります。

くれぐれもお身体ご自愛ください。

この数か月、いや考えてみれば数年、飲食店で過ごしながら気になることがあります。

それは、接客をするスタッフの方々から笑顔や言葉が消えているような気がすることです。

確かに外国人スタッフが増えていることで教育の行き届かない点はあるとは思うのですが、日本人スタッフも同じような対応が多いような気がします。

まるで、コンビニでレジ対応するスタッフと変わらない感じがします。

どうしてなのでしょうか?

オーダーエントリーの端末に注文を打ち込み、それを見ながら復唱する時は当然下を向きながら行うのは仕方がありません。

ですが、テーブルのお客様のところへ伺った際「いらっしゃいませ」や「ご注文お伺いいたします」とお尋ねする際などは〈笑顔〉があっていいと思うのです。

もちろん「お待たせいたしました」と料理を提供する時にもその機会はありますね。

ましてやレジで会計の際、本来〈笑顔〉は必須のはずです。

支払いを行うお客様はある種の緊張をなさっているものです。

いくらになるのか、間違いが起きないか、様々な感情が入り混じってスタッフの動きを見ているものです。

この時に笑顔や明るい言葉があると信頼して待てるものなのです。

それなのに機械的に金額を告げられ、お決まりの対応をされ、お釣りを渡された後、そのスタッフはそそくさとその場を忙しそうに去るという光景を目にするとその店に対する愛着は生まれません。

最近、すべてではありませんが、飲食店の社員・A/Pともに明るく楽しそうに働いているように見えないことが多々あるのは残念なことです。

楽しくなければ、明るくも笑顔にもなれませんよね。

おそらくお店が仕事の楽しさを教育していないからではないでしょうか。

「サービス業はどんな意義があるのか」

「我々の仕事がお客様の元気やストレス解消にどれほど役立っているのか」

をもう一度教えてあげる機会を持つのも大切ではないでしょうか。

労働の辛さや面倒さにばかり頭が動くと笑顔は出ません。

「先日、遠方からご来店いただいたお客様から、

『この街に来ると必ずこのお店に来るんですよ。

美味しいからね。それにあなたがいらっしゃるから…』と言っていただいたんです。

涙が出るほどうれしかったです」という言葉を顧問店のスタッフから聞きました。

こういうことが繰り返されると楽しくなりますよね。

まずはこちらから明るく楽しそうに働く心がけから、そして笑顔や声掛けを行ってみましょう。

きっと仕事が楽しくなりますよ。

「自分を大切に、そしてお客様を大切に」

仕事に励んでください。頑張りましょう。