KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.98

12月に入り、朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたね。

店舗を回っていると風邪をひかれている方が少なくありません。

年末に向かって忙しくなる時期です。

どうぞお体を大切になさってください。

これを読んでくださっている皆様の穏やかな毎日を祈念いたします。

今回は先月、マスコミで流れた〈予約キャンセルの男逮捕!!〉についてのお話。

5件の店舗に総額51万円の予約を行い、当日無断キャンセルした男が偽計業務妨害容疑で逮捕されたことが報道されました。

さすがに店側も見逃すことができなかったのでしょう。

ここ数年、予約の無断キャンセルや当日キャンセルが増加していますね。

2018年に経済産業省が委託調査事業として取りまとめた「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」によると、被害額は推計で年間約2000億円にも上るとも言われています。

さらに、通常の予約のうち、1 日前、2 日前に生じるキャンセルも加えるとその発生率は6%強に達し、被害額は約 1.6 兆円 にも及ぶと推計されるのだとか。

その理由は、「当日食べたいものが変わったから」「連絡が面倒だったから」「とりあえず予約しただけ」「2~3件予約していて他のお店に決めたから」などというお気軽な内容がいくつもありました。

我々飲食店の深刻さは全くと言っていいほど理解されていませんね。

当日のキャンセルは、仕込んだ材料、用意した料理の廃棄だけではなく、A/Pの増員、席の確保のための営業スぺースの縮小、同日の他の予約のお客様の断りなど、被害額は料理の全額をもらったとしても合わないほどです。

ではどう対処したらよいのでしょう。

「No show対策レポート」にもありますが、第一は予約の再確認(リコンファーム)の徹底ですね。

毎日の仕事にマンネリが起こると〈大丈夫だろう〉という希望的考えが確認チェックの行動をおろそかにするものです。

「ほんとに来ますか?」なんて聞けませんから、「人数や時間など変更はございませんか?」などと聞けば問題ありません。

第二に予約時にキャンセルポリシーやキャンセル料の目安を伝えることです。

当日キャンセルは料理の100%、3日前までは50%などを伝えることで、早めのご連絡を意識していただくことです。

第三は申込金をいただきましょう。

電話連絡では難しいですが、お店に直接来られて予約されるお客様であれば可能です。

高額の必要はありません。千円から数千円でもお金を出していれば忘れることはないでしょう。

海外では予約時点で前払いやクレジットカードの番号提示を求められるのは珍しくないことです。

事前決済や預かり金の導入も考えられます。

年末年始に向かって食事会・忘年会の予約が増加してくるのは間違いありません。

ただでさえ忙しくなるこの時期、煩わしい問題を抱えるのは大きなストレスになりますね。

できる限りの自己防衛をしたいところです。

忘年会シーズン真っ只中、体に気をつけて繁忙期を乗り切りましょう。