KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.107

9月を迎えましたが、新型コロナウイルス感染は第2波がグズグズと続いていますね。

アメリカ・イギリス・ロシアとワクチン開発の明るい知らせは届いていますが、未だその効果や配布方法等は、不確実で安心には程遠い状況だと言えます。

東京では時短要請の延長が発表され、飲食店たちはざわついています。

今回の延長には、前回のように皆が従う雰囲気はないような現状です。

23区に限られているため不公平感や15万円の協力金支給では、まったく採算が合わないという経営者が多いためです。わかる気がします。

「ウチは小規模で中心繁華街でもないので、家賃もそんなに高くはないですから、最初の協力金50万円2回や持続化給付金は本当に助かりました。

お上に感謝ですよ。」

「でも今回は、遅い時間に決まってくる常連のお客様たちを断ってまでできませんよ。」

そうなんです、小規模店の1.5~2等立地の居酒屋などは遅い時間の常連客の比率が高いため、時短に協力すれば採算が全く合わなくなってしまうのです。

真面目に取り組んでいる店主はソーシャルディスタンスのため、席数を減らし、エアコンを全開にしながら、入り口ドアを開け放して換気に気を配っています。

カウンターと厨房の間にはビニールシートを下げ、客席にはパーテーションを用意しました。

もちろん、消毒用アルコールは常備し、マスクも毎日、スタッフ全員に新しいものを配っています。

清掃に使う備品も増えました。その経費は結構なものです。

この上、さらに営業時間を減らすなどということは考えらないでしょう。

おそらく、かなりの店が今回は従っていないのではないでしょうか。

大手の対応としては、23区内で「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」などを運営する「すかいらーくグループ」では、これまでも全店舗で午後10時までの時短営業を実施してきたが、都の要請に従い15日まで継続。

一方、午後10時以降の営業を継続していた「串カツ田中ホールディングス」では1日以降も23区内の約50店舗で深夜帯の営業を続けるとのこと。

広報担当者は「感染対策をしっかり行った上で営業します」と説明しています。

大手でも対応は分かれていますね。

「いいですよね、感染対策はキチンとやってるし、遅い時間のお客様は常連ばかりだし、4~5時間の売上じゃどうしょうもないですもん。」

問われた私も経済が優先か感染防止が優先かを一瞬考えましたが、最後には首を縦に振って反対はしませんでした。

コロナ騒動で「飲食店はテイクアウトやデリバリーをやればいいじゃん」という意見がありますが、路地裏や人通りがないところでのテイクアウトは馬鹿げていますし、遅い時間が主流の人手のない店でデリバリーサービスをやれとは、1日の飲食店の作業を知らない人間が言うことです。

気にかかるのは自粛警察と街の閑散化の影響です。

ホント、たいへんですが今月も健康で頑張りましょう。