KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.109

11月になって朝夕めっきり涼しくなり、季節の変化を感じられるようになりました。

新型コロナ感染の様子は、諸外国に比べれば少ない数字ですが、その影響は相変わらず続いています。

FBAのオフィス周辺では、通勤時に当たり前だった光景が変わってきています。

そうです、両手で数えられないくらいに閉店の飲食店が目立ってきているのです。

表通り1階部分だけで感じるのですから、実態は計り知れません。

そんな中、少しうれしいニュースも流れてきました。

地方からも都心からもGOTOトラベル・GOTOイートが始まった後に、お客様の来店が確実に増加しているというのです。

都内でも客足が確実に増えていると感じます。

スタッフとともにできるだけソーシャルディスタンスを心がけながら、飲食店の利用をしているのですが、先日も小さな居酒屋に足を運んだところ、女将さんが心持ち上気した笑顔で迎えてくれました。

「いらっしゃいませ、今日はこちらの席しか空いていないんですがよろしいですか?」

示された席は入り口の扉前、消毒液の真横、急遽設置された席のようでした。

「え、随分空いてるけど、奥のテーブルはダメなの?」

そういって、指差しをした私ですがすぐに気が付きました。

なんと、予約席の札が全席、置いてあるのです。

「全部予約が入っているの?」

「そうなんです、GOTOイートのオンライン予約に登録したら、こんなになっちゃったんです。

ごめんなさいね。」

確かにオンライン予約すると、一人1000円分(ディナータイム)のポイントが付与されます。

この店はGOTOイートに乗じて、お得コース(飲み放題付き 料理7品4000円→3500円)というイベントもやっているため、このコースをGOTOイートで利用すると、政府が1000円引きにしてくれますから、実質2500円で過ごせるわけです。

ネットを見たところ、どうも更にTポイントなるものが1人1000ポイント付与される様なのです。

じゃあ、1500円ってこと!?

安いから繁盛している、と言ってしまえば簡単ですが、それだけではなく、帰り際にご主人と女将が店頭に出てきて、「ほんとにお客様が来てくれるということがこんなにうれしいことだとは思いませんでした。

お客様が来てくださるのが当たり前じゃないんだと改めて気づかされました。

これからも更に、お客様を大切に頑張ります。」

そう言って、駅に向かう我々をいつまでも見送ってくれる姿を見ながら「お客様を大切に思う心があってのイベントなんだろうな」と胸が熱くなりました。

料理、サービス、雰囲気に磨きをかけながら、何とかこの厳しい状況を耐え、乗り越え、存続していきましょう。

「この危機を乗り越えた店は、生き残った揺るぎない価値をお客様に提供できるようになる」と心に留めて。

ホント、たいへんですが、今月も元気よく参りましょう。