KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.115

 

5月を迎えましたね。

特定地域とはいえ、ついに3回目の「緊急事態宣言」が発令、今回は「まん延防止措置」に続くもので、8時までの時短と酒類提供停止要請です。

新型コロナの猛威は変異株という、新しい姿をみせて襲ってきています。

発令するに至るのは仕方がないのでしょうね。

GWに期待していた店は肩を落とすしかありません。

飲食店の居酒屋業態に関しては、〈昼飲み〉企画やアイドルタイム企画も行うことができず、ランチの販売だけではどうにもなりません。

開店休業とは正にこの状況ですね。

酒を出せないなか、休業するしかないと、臨時休業している店も多いでしょう。

そんな中、街中で見かけたある店では、「酒類の提供ができません、酒類はお持ち込みください。

お願いいたします。

グラスは提供します」というポスターを掲げていました。

さらに「こちらのお酒は売り物ではありません!

勝手に飲まれた場合は1杯につき罰金500円を申し受けます」などと店内に酒類をドリンクバーのようにして、POPを貼付して裏技営業をしている店も現れているようです。

普段ならば「面白い、集客の良い手段だね」という声もあるかもしれませんが、こんな時だけに、冷ややかに見る方も多く、「抜け道を考えて営業し、協力金ももらう、ふざけた店」というイメージを持つ方も多くいるようです。

酒の持ち込みについてのルールが曖昧だったため、イタチごっこのように、「酒持ち込みOK」にして繁盛している店があれば、真面目に要請に従い、酒の提供や持ち込みを控えてきた飲食店からは不満が出るのもわかります。

酒持ち込み可の飲食店が多くみられたせいか、緊急事態宣言延長では、12日以降、酒持ち込み可の飲食店にも休業が要請されました。

ただ、私としては、そこまでしなくてはならないほど追い込まれている店の内状を察すると綺麗事をいう気にはなりません。

≪グローバルダイニング≫のように要請に従わず、営業を続けることを宣言し、違反店として公表されても、罰金を払っても、損害賠償104円で贖う策のほうが、潔しと言えるかもしれません。

ですが、個人店ではそうもいきません。

生き残るための苦肉の策ですよね。

苦境を乗り越えるため、リモートワークやコロナ対策を意識した取り組みは一層進むことでしょう。

ワクチン接種が進まず、収束が見えず、厳しい経営環境が続くなか、落ち込んだ収益を取り戻そうと「新常態」での取り組みを各社が模索しています。

大手に限らず、「新業態」へと舵を切る飲食店も増えています。

新しいニュースで≪金の蔵≫の三光マーケティングは、とうとう「寿司屋に転換」「焼肉店に転換」を打ち出しました。

ワタミも居酒屋から業態転換を進め、持ち帰りができる唐揚げの専門店や、換気設備の整った焼き肉店に転換していますね。

個人店の居酒屋でもアフターコロナは新業態出店を決意する方も出てきました。

これだけ長引く自粛の嵐は街の様相も変えてしまうかもしれません。

我々はなんとしても生き残って、またお客様の笑顔を見ましょう。

ホント、たいへんですが今月も健康で頑張りましょう。