KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.116

 

6月を迎えましたが、特定地域の「緊急事態宣言」(酒類の提供禁止)が20日までの延長となりました。

季節は梅雨時を迎え、今年も半年が経とうとしていますが、飲食店にとってはまともに商売ができない時間がこれだけ続くと限界です。

新型コロナの猛威は変異株という、新しい姿をみせて襲ってきています。

ワクチン接種はまだまだ始まったばかり、どう営業を考えていけばいいのでしょうか。

「先日、長年取引をしている酒屋が〈もう限界です、経営が持ちません〉と泣きを入れながらやってきました。

注文したくても店で酒類の提供ができなければ発注のしようがありません。

酒屋だけじゃなくてほかの業者だって同じようなもんですよ。」

この店の経営者は今まで全ての要請に従ってきましたが、協力金の不公平感・感染対策を万全にしていても報われない処遇、信頼関係にある業者の惨状などを考えると、今回は協力金を返上して通常営業を始めようかと迷っているということです。

要請に従わず、違反店として公表され、罰金を払っても営業を続けることを宣言した〈グローバルダイニング〉は「弊社レストランを必要とするお客様のため、従業員を守るため、お取引先を守るため、営業を続けさせていただきます」という考えのもと、通常営業を続けています。

どんな様子か店舗を覗いてみました。

午後6時過ぎから10時まで店内で営業状況を視察しましたが、他の店舗が酒類の提供を自粛しているなか、ニュースが宣伝にもなっているのでしょう、お酒を楽しむ多くのお客様でいっぱいです。

垣間見える厨房のスタッフは忙しく動き回り、ホールスタッフはマスクをしているとはいえ笑顔が感じられるさわやかな接客で、どちらも生き生きと働いていました。

隣で食事を楽しむお客様の「やっぱり、この感じで飲むのがいいよね」という声を聴くと、何だか幸せな気分になり、この店のあり方を非難する気にはなれませんでした。

ですが、一方で緊急事態宣言の要請を守り、窮地に陥っている経営者のことを思うと、いったい誰が悪いのかと忸怩たる気持ちがわいてきてストレスがマックスになっている自分がいたのも確かです。

帰り道、灯が消えた街、休業している飲食店、閉店した飲食店を見ると悲しさ、寂しさがいりまじり、経営者が緊急事態宣言に従うべきか否かの選択はどちらも理解、尊重しなくてはいけないという気持ちになったのでした。

緊急事態宣言の延長後、渋谷周辺の様子を見ていると、延長前に比べ、酒類を提供する通常営業の店が格段に増えました。

飲み放題を再開している店も目にしました。

「飲み放題実施中!!」ののぼり旗が出ていたので、旗を出しているだけかとも思ったのですが、店頭のメニューを確認したところ、しっかりと酒類も提供中でした。

〈グローバルダイニング今期の決算1億7千万円の黒字〉のニュースを目の当たりにして、通常営業に舵を切った店もあったのではないでしょうか。

皆さんがどう捉えたのか気になるところです。

我々はなんとしても生き残って、またお客様の笑顔を見ましょう。

ホント、たいへんですが今月も健康で頑張りましょう。