KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.120

 

9月後半にかけて、コロナ感染の流行は急激な感染者の減少傾向を見せ、全国に発令されていた「緊急事態宣言」(酒類の提供禁止・時短)は10月1日、解除となりました。

ただし、東京は制限付き解除で、酒類の提供は8時まで・営業は9時までの時短要請となっています。

それでも酒類提供が要の飲食店にとっては、「待ちに待った」解禁ではないでしょうか。

感染が急激に減少した理由はワクチン接種が進んでいることが大きいのだと考えますが、これから流行のしやすい冬場を迎えるわけで、まだまだ「安心」はできませんね。

飲食店の皆さんも一安心とはいえ、酒類の提供が再開されるのに向けての準備で慌ただしかったのではないでしょうか。

「いやぁ、宣言が明けるか明けないか、明けるにしてもどうなるのか分からないまま、ギリギリで決まったので、仕入れもバタバタですし、スタッフも休んでた期間が長いので、スムーズに動けるのか心配ですよ」といった声が聞こえてきました。

ホント飲食業界は振り回されっぱなしです。

そんな中、街の様子を視察すべく、さっそく視察に出かけました。

何度か行ったことがある、唐揚げ専門の居酒屋で、接客に定評のある店に入店しました。

2人で行ったのですが、5時過ぎにもう店内はいっぱいです。

辛うじて空いていた2名用のテーブル席に案内され、生ビールと数品の料理を注文しました。

盛況な店内は楽しそうなお客様の笑顔で溢れ、活気があり、何だかこちらもうれしくなりました。

ただ、どうもスタッフが少ないようで、その動きにかなりの焦りを感じました。

事件はその後、起こるべくして起こったのでした。

久しぶりのビールでピッチが速い我々は、すぐに追加のビールを注文したのですが、テーブル上には、お通し料理の空き皿、料理、それと一緒に提供された調味料入れなどでスペースが埋まっていました。

スタッフの方はその様子から次の料理の置き場所を確保しようとしたのでしょう。

空いたビールジョッキ2つを手にした後、更に空き皿、調味料入れをバッシングしようとした時、ガッシャーンという音とともに私の足元にビールジョッキが砕け散り、調味料が散乱したのです。

「申し訳ありません。」

謝罪の言葉とともに「お客様、お怪我はありませんか?」と私を気遣う言葉を忘れず言えるのはアルバイトとはいえ、きっちりと教育されているのでしょう。 

他のスタッフも掃除道具を抱えて駆けつけました。

忙しい店内状況なかで、不足している人手の中行われる後始末が気の毒に感じた私は、「こっちは大丈夫だから、気にしないでください」というしかありませんでした。

同じ業界で店の大変さもわかりますから、足に飛んだシミをとやかく言う気も起りませんでした。

しかし、一般の人であったとしたら、その後どう発展したかわかりませんね。

無理のない2回に分けるバッシングを行えばよかったのですが、焦りの中それができなかったことが原因です。

正に、宣言明けの後遺症ともいえる出来事でした。

各地で自治体によって対応が違う緊急事態宣言の解除ですが、どちらにしても、オペレーションの再確認は必要ですね。

スタッフのシフト調整、接客の見直し、できるだけ万全を考えてスタートしましょう。


ホント、たいへんですが、お客さんに喜んで食事を楽しんでもらえるよう、取り組んでいきましょう。

ではまた。