KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.121

 

10月にコロナ感染の流行は減少傾向を見せ、東京では連日二桁の感染者数となり、全国の「緊急事態宣言」(酒類の提供禁止・時短)解除後、制限付き(営業9時まで、酒類提供8時まで)だった状態も、全面解除となりました。

今月5日金曜日の夜の東京や大阪などの各地の人出は、飲食店への時短要請が続いていた2週間前と比べて、多くの地点で増加していました。

未だ不安はありますが、何とかこのまま収まってほしいものですね。

ただ、飲食店にすぐにお客様が戻ってくるかといえば、疑問もあります。

外食レジャーに飢餓感があり、飲食コミュニケーションを楽しみにしているお客様は多数いらっしゃいますから、そこに期待は持てます。

しかし、巣籠生活に慣れてしまい、その便利さや居心地の良さを知ってしまったお客様も相当数いらっしゃいます。

また、企業のリモートワークや退勤後の飲食店利用禁止令も未だにそのままという状況は変わっていません。

さらに、グルメサイトの調査で発表された、忘年会の予定では、72%の企業が忘年会は行わないとのことですから、相変わらず、飲食業界はコロナ禍に振り回されっぱなしです。

テイクアウト・デリバリー需要はまだまだ衰えないのでしょうか。

今後の様子を見ながら慎重に営業をしていきましょう。

かく言う私も長引くコロナ禍でテイクアウトを買う機会が増えているのは間違いありません。

そんな中で、チョット「あれっ」ということに出合いました。

店頭の“うなぎ弁当”というポスターに惹かれてその店に入った時のことです。

うなぎが好物の私は「外に出てる、ウナギ弁当ください」と、ちょっとしたウキウキ感を持ちながら、そう声をかけたのです。

ところが、その気持ちがいっぺんに、モヤモヤに変わりました。

そこのスタッフがこう言ったからです。

「はい、中国産と国産とどちらになさいますか?」

なるほど、そのスタッフが指さすメニューには中国産と国産の表記があり、価格も当然大きな違いがあります。

私、迷いました。

中国産に対するイメージと懐具合、そのスタッフに対する見栄とがグルグルと頭を駆け巡って、決められません。

わかっていながら「どう違うの?」(素人か!)と聞いた私に「どちらも、美味しいです」と応える彼女、変な会話の後、彼女の笑顔に負けて、見栄で国産を買ってしまいました。

中国産で良かったかなぁなどと思いながら、店を後にしたのでした。

こんなお客様も多いのではないかと思うのです。

なんでかなと考えた時、〈表記の問題〉だなと思い当たりました。

正確な表記をするのは当然ですが、お客様が声に出して頼みやすいように考えることも大切なことです。

この場合、うなぎA(国産)・うなぎB(中国産)や、松(国産)・竹(中国産)の方がどれだけお客様が声に出しやすいか。

我々の店でも、もう一度メニュー表記・メニュー表現を見直してみることも必要ですね。

たまに、「読めない漢字があるメニュー」など、頼みづらいというか、言い間違えると恥ずかしくて頼めないメニューなんていうのも見かけます。
 
利用者が要望する、飲食店で注文するときに1番改善してほしいことは、「ストレスなく注文ができること」。

ホント、たいへんですが何とか耐えましょう。

お客様の笑顔を創りましょう。

ではまた。