KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』 Vol.131
こんにちは。
日中でも秋風を感じられるようになりましたが、残暑きびしく、9月だというのに猛暑日に迫る暑さになっている所もありますね。
新型コロナの感染状況は、少しずつ落ち着いてきていますが、戻り始めた客足が止まった状況は変わらないようです。
特に夜の客足は70%ほどの戻りにとどまったままです。
政府が、新型コロナの水際対策を近くさらに緩和し、入国者数の上限撤廃やビザを免除することで調整を進めているとの報道がありました。
欧米のレベルに近づきつつあるような動きですからそこに少しばかりの期待をしたいですね。
さて、今回は新しくお店をオープンして半年ほどのお店からご連絡をいただいて、訪問した時のお話です。
アイドルタイムの午後、扉を開けてちょっと驚きました。
目の前に飛び込んできたのは200万円程する非接触型の最新式のレジだったからです。
というのはそれほどのレジを導入するような規模ではない個人店さんで、ご家族で運営しているようなお店だったからです。
もちろん、このようなWITHコロナの時ですから、感染対策は万全に越したことはないのですが、本当に現時点で必要なのか、ここまでのものは私だったら導入をお控えるよう、申し上げていたと思います。
レジマシンが象徴するように店を見渡したところ、内装にもかなりお金をかけたことがわかります。
ご挨拶をした後すぐに「すごいレジがありますね。
よくこれを選ばれましたね」と、声をかけたところ、経営者は待ってましたとばかりに語りだしました。
「実は私、料理は少しはできるんですが、マネジメントは全く素人同然で、8か月前、この店の計画が出た時に人の紹介で、『店長のプロ』という人を紹介されて、その方の言うとおりにすべてを揃えたんです。
〈飲食店には○○も○○も必要で、キチンと揃えないと後々困ることになる〉と言われるままに購入したものだから、予算はどんどんオーバーしてしまいました。
内装もあれもこれもと・・・」と、彼の言葉は止まることがありません。
「それでその店長さん、今日はどちらに?」と聞くと、
「それが、聞いてください。
オープンの3日前に〈こんなに人材が集まらない店では、仕事が自分に集中するので自信がない〉と言って辞めてしまいました。」
驚きはしたものの、ない話ではありません。
計画の段階というのは夢を語りながら1番楽しく過ごす時間です。
ところが現実になってくると身体も心もきつくなります。
そうすると、ばっくれる、逃げ出す人間も少なくありません。
逃げられないのは経営者だけです。
コロナ禍で店を閉店するところが増え、良い物件が出てきているのをチャンスと捉えるのは悪いことではありません。
しかし、チャンスにはリスクが必ず潜んでいます。
ぜひ、緻密な計画と人的戦力の確保は万全にしていただきたいものです。
ホント、たいへんですが何とか耐えましょう。
お客様の笑顔を創りましょう。
ではまた。