ホスピタリティの土台をつくりましょう

 前回(サービス=ホスピタリティ)というお話をしましたが、実はサービスは二つに分類することができます。物質的・技術的サービスともう一つが精神的サービスです。
店の内外装、設備、お料理や飲み物、什器備品、照明、空調、BGM・・・これらはすべて物質的なサービスです。また、オーダーの取り方、お水の出し方、皿の持ち方、テーブルセッティングの仕方等これらは技術的なサービスと言えるでしょう。これらに共通することはお金や時間を掛ければできるという点です。一方、精神的なサービスは個々人の意識によるところが大きく、また、お金をあまり掛けなくても、前回お話したようにお客様をガッチリと掴むことができる点です。
この精神的なサービス(=ホスピタリティ)をパート、アルバイトにいたるまで浸透させてゆくことがサービスをお店の価値としていけるかどうかの重要なポイントになります。お客様にとって接客してくれる人が社員かアルバイトかは関係ないことですから。

  ではどうしたらお店として「ホスピタリティ文化」を醸成していけるのでしょうか?ホスピタリティ文化の重要なポイントとしてお店の人間関係が挙げられますが、その一部として、下記のチェックをしてみてください。

1) 従業員同士がみな気持ち良く、目を見て挨拶できていますか?
2) 仕事中、上下の分け隔てなく「ありがとう」と互いに言い合えていますか?
3) 上司や部下お互いが相手の趣味や人柄に興味を持つようにしていますか?
4) 上司は部下の意見に真剣に耳を傾けようとする姿勢がありますか?
5) 売上が良くても悪くても一日の頑張りに対して心からねぎらいの言葉をかけていますか?


 お店を家で例えるなら、その中にいる人達はファミリーです。例えばあなたが、親子、夫婦、兄弟仲の悪い家庭に招かれて、豪勢なご馳走を出されても居心地が悪くておいしく食べることはできないでしょう。お店にいらっしゃったお客様も同様に悪い人間関係を感じるお店で食べるものは、ご馳走でもおいしく感じないのです。明るくぬくもりがある雰囲気か、暗く冷たい雰囲気なのかは、店に一歩足を踏み入れれば分かるのです。ですから、働く仲間同士でさえぬくもりや思いやりのない環境では、お客様に対するホスピタリティは生まれません。

“仲良く、楽しく、元気良く、今日も一日ベストを尽くしましょう”
 これは私の顧問先の全店共通の店訓です。この店訓のようにごく簡単な意識付けから始めることでもホスピタリティ文化を育てることはできるのです。
 店内、企業内でのホスピタリティ環境の整備。これがサービスを付加価値にしていく第一歩です。