3つの“ing”(5)

 今回は“3つのing”最終章、「Asking」についてお話したいと思います。
「Watching」(観察し気付く)し、「Thinking」(個々のお客様に合った行動を考える)した後、「Asking」は実際の行動を起こすうえで最適な方法のひとつといえます。観察し、考えたことが実際に良いことなのか、「お客様、~いたしましょうか?」、「お客様、~はいかがですか?」などと尋ねてみること、これが「Asking」です。
 「Asking」には二つの効果があります。
ひとつは、前述のように自分が考え、しようとしている行動がお客様に合ったものなのかを確かめることができるという効果です。お客様のなかには、話しかけられることが迷惑だと思われる方も中にはいらっしゃいますが、もしお客様が「うるさいな」という表情をされたり、そういう空気を感じたら、さりげなく手短に「失礼しました」と言ってその場を去ればよいのです。サービスに満点はないので、それほど気にする必要はありません。むしろ、「伺わない」、「尋ねない」ことは、タイムリーなサービスができないことに繋がることもあるからです。もちろん、事前の「Watching」、「Thinking」で「Asking」が必要のないことがはっきりした場合はこの限りではありません。
もうひとつの効果は、お客様とのコミュニケーションの機会が増やせるという点です。これは、サービスという観点から、たいへんプラスになることです。
飲食店の評価は「Q(クォリティ)、S(サービス)、C(クレンリネス)」で決まると言われるように、サービスは大きな価値の一つであり、お客様に積極的にアプローチすることによって、結果的にお店の価値を高めていくことが多いのです。

 皆さんは、お店の人と話をして仲良くなり、そのお店に愛着が沸いてきたことはありませんか?どこに食べに(飲みに)行こうかと迷っているときは、必ず思い浮かんでくる。それは、「お店」だけではなく「その店員」であることも多いものです。
 話しかけられること自体を喜ぶ人は多いものです。それは自分のことを気にしてくれているということが分かるからうれしいのです。そうすると自然と心を開き、ついつい仲良くなってしまうものです。
そんなお客様を10名掴めたら売上がどれほどアップするか・・・もしあなたが経営者なら胸の高鳴りを抑えられないでしょう。また、従業員の方なら自分に好意を寄せて来店してくださるお客様がいれば、自分の仕事に自信と誇りを持つことができるでしょう。

  今回で“3つのing”シリーズも終了です。さあ、明日から「Watchig」「Thinking」「Asking」を実践していきましょう。そしてお客様のハートをたくさんゲットしてください。
 次回からは“サービスの5S”という観点から“旨いサービス、ウマイ接客”をご説明して参ります。