サービス、作業の優先順位(2)

サービス、作業の優先順位を守ってオペレーションするために重要なポイントがいくつかあります。

まずは、「WATCH」を徹底し、現在の状況を常に正確に把握することです。
例えば、A卓は今入店したばかりである。B卓はそろそろオーダーが決まりそうである。C卓はそろそろドリンクがなくなりそうである。D卓は料理をほとんど食べ終えている等、各テーブルの状況をよく把握したうえで、さらに新規入店客がいないかどうか、料理の提供は滞っていないか、各種備品は足りているか、整理され仕事がしやすくなっているか等、ステーションの状態と店内の状況、状態を把握しなければなりません。これらを把握していないと優先順位以前に正確なオペレーションはできません。それをきちんとしたうえで優先順位の組み立てに入ります。

優先順位のつけ方の基本は、前回にも述べたように、「お客様に直接、接すること」を上位に、「作業的なポイントは」下位にですが、「お客様に直接、接すること」のなかでも、緊急性のあるもの(お客様をお待たせすることで負担が大きいもの)は、更に上位になります。例えば、新規のお客様の案内が滞ることは、お客様を入口で待たせることになるので、最優先される項目のひとつです。
上記の各テーブルを例に取れば、新規客のご案内をした後にA卓のファーストドリンクオーダーを伺い、さらにB卓のオーダーを伺って、C卓に追加のドリンクオーダーを促し、その後にD卓の空いた皿を下げる・・・といった具合になります。
また、「watch」はいうまでもなく、連続していなければなりません。なぜなら、以前にもお話したように各テーブルの状況やステーションの状況は常に変化するもので、新規客はいつ来るか分からないので、入口の状況は常に「watch」する、各テーブルの進行状況は常に「watch」する必要があります。

基本的な優先順位のポイントを念頭においたうえで、優先順位上位の仕事の発生を予測して「watch」しながら、優先順位下位の仕事を行ないます。例えば、各テーブルのお客様の状態を「watch」し、B卓は「あと少しでオーダー決まりそうだな」などと把握しながら、まだ早いようであれば、ステーションでの補充等を行ないます。作業的な仕事はいつでも手を止めても構わないことが多いのですから、この「watchしながら」が非常に重要になってくるわけです。
ここで重要なのが、各仕事の発生に対するスパンの計算です。例えば、一番分かりやすいのが、オーダリングと中間サービス(空いたお皿を下げたり、灰皿を交換したり、追加のドリンクなどを促したりすること)とが重なりそうな場合です。この二つを比較し場合、オーダリングが優先となりますが、オーダーが決まったと同時に「お決まりになりましたか?」と伺うまでに他のテーブルの中間サービスができるのかどうかは「あとどれくらいでオーダーが決まるのか」と「中間サービスを終えるまでどれくらいかかるのか」を計算して判断することが大切です。中間サービスを行っている最中にオーダーが決まってしまい、お客様がスタッフを呼んだり、キョロキョロ探させていけませんし、皿や灰皿を持ったままオーダーを取るのは失礼になります。オーダーがどれくらいで決まるのかはお客様のメニューブックへの注目度(注視している場合は、まだ決めかねている状態です)で判断して、タイミングを計りましょう。
最後に、他のスタッフとのコンビネーションも大切です。例えば、オーダリングとご案内が重なる場合はどちらも待たせたくない状況になります。どうしても一人で行わなければならない場合にはオーダーのお客様に「申し訳ございません、少々お待ちくださいませ」と断ってから、ご案内を行ないますが、スタッフが複数の場合は、お互いのサービス、作業量を把握しながら、同時にお客様をお待たせしないようにオペレーションを行いましょう。

SEE→PLAN→DO というマネジメントサイクルの中で優先順位を組み立てることは「PLAN」にあたります。そういう点で接客サービスを行う人は全てお客様にとってのマネージャーと言えるのです。状況を常に把握し、正確に優先順位を組み立てて、常に最適なサービスができるように努めたいものです。