モチベーション(1)

今回からは接客・サービスを行うにあたって必要なスタッフの士気の持続と向上に関する技術や知識についてお話していこうと思います。

皆さんのお店の中にはアルバイトやパートさんを雇われているお店も数多くいらっしゃると思います。中にはほとんどのスタッフがアルバイトやパートさんで構成されているというお店も多いでしょう。
我々の仕事の目的は、来店された全てのお客様に高いクオリティー(Q)とサービス(S)、クレンリネス(C)を提供し続け、満足していただき、「また来たい!」と思っていただくことです。しかし、以前にもお話したとおり、飲食店の仕事はほとんどの場合、店長や経営者、もしくは一部の優秀なスタッフだけで運営されているわけではなく、全てのお客様を満足させることはむずかしいものです。私は顧問先でも常々申し上げるのですが、飲食店で一番重要なポジションを担っているのはお客様に直接接するスタッフです。特にホール業務を担当する接客担当者は、お客様にとってはその店の「顔」といっても過言ではありません。なぜならお客様は担当してくれたスタッフの対応しだいで、「この“店”の感じはすごくいいなぁ」とか「この“店”の感じ悪いな」などと思ってしまうものだからです。言い換えるとするなら、「また来たい!」と全てのお客様に思っていただくためには、お客様に接する彼らの作業、サービスのレベルを常に上げ続け、楽しく、イキイキと仕事ができる環境を維持しなければならないといえます。
今回からはその環境づくりに最重要なスタッフの士気の持続と向上についてのお話です。

士気を高める手法で、人にやる気をおこさせるきっかけのことを「モチベーション=動機づけ」といいます。「モチベーション」はスポーツ界でよく使われるように、士気の度合いを指す場合もあります。
今回は「モチベーション」に関して覚えておいていただきたい3か条を示します。
この3か条は経営者や店長、リーダーなど人を管理、監督する人なら必ず覚えておいていただきたい項目です。

良いモチベーションの3か条


1) モチベーションを行なう者自身がやる気に満ち溢れている
2) いつも相手を認める態度で接する
3) やってほしいこと、期待することを具体的に伝える

1)は率先垂範を意味し、いわゆる「口だけ」ではなく言動が一致していて、一貫性があることを意味しています。2)は相手の成功や成長をいつも期待するという意味で、たとえ失敗を咎めたり叱責しなければならないようなときにも、その先にある相手の成功や成長のためにするのだという気持ちを持って行なうということです。また、一方的に指示命令したりせずに、相手のそのときの気持ちを常に理解しようと努めることも重要です。3)は相手が分かるように指示命令を出し、考え方の相違がないようにすること、また、どのようになってほしいかを折に触れて伝達することです。

人をやる気にさせることはとても難しいことではありますが、人がついていきたいと思うような人はこの3か条を必ず実践しているものです。店の「顔」であり「宝」であるスタッフがイキイキと快活にお客様の前で本当の笑顔を見せながらサービスしてもらうために、良いモチベーションをいつも心がけてください。
次回は逆にスタッフのやる気を失わせる行動の3か条についてお話します。