トレーニング(3)

 今回は効果的なトレーニングの流れの第二段階についてお話してまいります。

トレーニングを行なうにあたり、仕事の目的と責任範囲の説明、出来映えについての目標設定と合意が終了したら実践トレーニングの開始です。実践で教える際、まず必要なことは「出来映えを示して見せる」ことです。OFF JTで説明した「出来映え」をトレーナー自身がトレーニーにわかりやすく見せて、完成形のイメージをつけさせるとともに、ポイントを逐次交えながら行なうことで、効率的に仕事を習得させていくことができます。

第二段階のポイント
 1)ひとつひとつの仕事を「ひとつずつ」やって見せる(コツやポイントを説明しながら行なう)
 2)流れに沿って行なう
 3)優先順位をケーススタディ形式で説明しながら見せる
 4)トレーニーをお客様からの視点で見させる
 5)よい例と悪い例を見せて違いを理解させる

この「出来映えを見せる」ことをおろそかにしている場合は少なくありません。これをおろそかにしているとトレーニーが出来映えのイメージができないばかりか慣れない仕事に空回りしたり、ひどい場合には自己流の方法で行なうようになり、店全体で見ればバラつきやムラを生む原因にもなってしまいます。きっちりと出来映えを示していればスムーズに仕事を理解し、頭と体で出来映え通りの仕事を行なうようになりますし、バラつきやムラもほとんど出ません。また、この後に続く第三段階と第四段階でスムーズにトレーニングを行なうための礎にもなっていきます。
優先順位を守るためのケーススタディも大変重要です。例えば、バッシングを優先させる重要性を教えていく際、ステーションでの補充等の作業をしていながら常に次に帰るテーブルを観察するというポイントをシュミレーションして見せるとその「目線」がトレーニーの脳に焼き付けられます。こういった細かいことがコツであり、長く経験を積んで覚えていくと思われることを手始めに教え見せることで、複合するコンビネーションが必要な仕事も比較的スムーズに習得できるのです。また、よい例悪い例を見せることも大変効果があります。この際、なぜいいのか、なぜ悪いのかをお客様の立場に立って説明しながら行なうとさらに理解は深まります。「自分がお客様ならこれどう思う?」などと聞きながら行なえば、悪い例については絶対にしなくなります。

次回は第三段階についてお話してまいります