コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2011年8月4日

Vol.1 おもてなしの原点を見直す

おはようございます。

(飲食店のあいさつは“いつも”このあいさつなのです)。

今回は先日訪問した埼玉県上尾市の優良店舗である寿司割烹での出来事に触れたいと思います。

女将さんと二代目若旦那で切り盛りしているこの店、メニュー構成・店内POPなどなかなか努力している様子がうかがえます。

この女将さんからこんな言葉が。

「先生、実は従業員の接客レベルが心配なのです」。

「どういうことですか?」と聞くと、どうやらスタッフの方たちの心のこもった接客ができていないという事らしく、かなり不満があるようで、何から取り組む事が必要なのか、教育の仕方に思案しているとのことでした。

KAZUとしては、まず店内営業の視察。

確かに4名のスタッフは、しっかりと接客用語も使いキビキビとサービス作業もこなしていますが、女将さんの言うように何か心(ハート)が感じられません。

(残念だなあ~)と思いながらさらに店内チェックを進め、予約のお客様の事前テーブルセッティングを確認すると“これは!?”、 問題発見です。

良く見かける事前準備の光景ですが、私の指導では絶対あり得ない準備の仕方があったのです。

「おしぼりがセットされているのですか?」

女将さんからの答えは「はい、作業オペレーションが楽ですから」とのことでした。

ここが問題なのです。

通常来店のお客様には、冷たいおしぼり(冬場は温かいもの)を手渡しでお渡ししているのに、せっかく予約までしていただいたお客様には店側の都合で(袋のまま常温)提供するといういわゆる“手抜き”の状態が習慣化しているということです。

「考えてみてください、普通に予約なく来店されれば、きちんとおしぼり提供しますよね。それがグループ団体でも手渡しでのおもてなしをしていますよね。それなのに予約までしてくれたありがたいお客様にはそれをしないというのはおかしくありませんか。そこに気が付いてください」。

スタッフを教育するには、店(経営者)がお客様に対してのおもてなし(心配り)の根本的な考え、理念や方針(接客とはなにか?)がしっかりできていてそれをスタッフに伝え、その後システム・マニュアルが活用されるということではないでしょうか。

このおしぼり一事のことから接客に対する根本理念があいまいなのでは?と疑ってしまうのです。

女将さんは間違いなくお客様を大切に考えているハズなのですが、時として効率を考える「経営者」になってしまうのでしょう。

『接客の根本理念』が明確化されていればそれが気付かせてくれるでしょうし、スタッフもその入り口から教育されれば心を失わないのではないでしょうか。

店舗力アップの一歩はそんな気付きでしょうね。

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