コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2020年5月11日

Vol.103 テイクアウト営業の注意点

5月に入り、飲食業界にとって、本来ならばGWは繁忙期で稼ぎ時ですが、今年は様相が一変しました。

コロナ感染の拡大により「自粛自粛」の影響で、現場は過去に類のない悲惨な状態です。

都心部に限らず、地方も客数・売上は半分以下に落ち込んでいる店が大半です。

「未来の食事券を売る」サイト、「食べて飲食店を応援」という通販や、テイクアウトを応援してくれるサイトなど、飲食業界を応援してくれるものがいくつも現れていますが、厳しい状況のなか、売上を立てる一手として、テイクアウト・デリバリーにシフトした営業を行う店舗が加速化しています。

私も街を歩く時は(もちろん極力、ステイホームを心がけています)、飲食店の状況を観察していますが、「テイクアウト・デリバリー始めました」といった、店頭の張り紙、チラシを配る店、現物サンプルを飾る店、ディスプレイでのぼり旗やA看板を出す店などがあちらこちらで見られます。

なかには、とりあえず、店頭に数品の商品を並べて売り始めたと思われる店も…。

テイクアウト販売は、持ち帰り容器を準備すれば、すぐにでも取り組めそうですが、導入時にはいくつかの注意点があります。

飲食店は、「飲食店の営業許可証」の下、通常は営業しています。

その範疇で、テイクアウトやデリバリーを実施することは何ら問題ないのですが、飲食店がテイクアウト・デリバリーでできる定義は、「そのもので一食の体を成すこと」というのが食品衛生法における定義なのです。

「アラカルトのメニュー単品」のように、おかずだけを販売してしまうと、「惣菜製造業」という違う業種の申請・許可が必要になることを知っておかなければなりません。

また、ケチャップやマヨネーズ、焼肉のタレなど料理に添える場合には、特別な許可は不要ですが、お店のオリジナル商品としてドレッシングやソースのみを単体で販売する場合には、「ソース類製造業」「調味料等製造業」などの許可が必要となります。

さらに、調理をする場所と販売する場所が異なる(お弁当を他の施設に卸すなど)は、認められていません。

このように、どこで調理をする、どこで販売をする、何を提供する、などによって、必要な許可が大きく異なります。

お酒のテイクアウト販売に関しては、「酒類小売業免許」が必要ですが、今回、特例措置として、「期限付酒類小売業免許」が新たに創設されました。

飲食店が資金確保のために在庫にあるお酒を特別に販売できるようにする措置で、この免許を取得すると、最大6ヶ月間、飲食店は在庫酒類のテイクアウト販売をすることが可能になります。

通販に関しては、飲食店としての営業許可だけではNGです。

まずは食品販売業の申請が必要になり、そして内容にもよりますが、食肉販売業、魚介類販売業、乳業販売業など細かく規定が存在しますから安易に発足してはまずいのです。

コロナ後の販売戦略として、テイクアウトや通販にシフトすることを検討するなら、安易に推し進めてしまうと思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。

もちろん、最も注意をしなくてはならない「衛生管理」と「食中毒予防対策」も講じておく必要があります。

始めるときには保健所のアドバイスを受けるなど、充分な勉強をしてから取り組んでください。

ホントたいへんですが今月も健康に気をつけて頑張りましょう。

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