コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2021年2月9日

Vol.112 「心を動かす」取り組みを

2月に入り寒さも本格的になってまいりました。

厳しい寒さは体温を下げ、免疫力の低下を招きます。

こういう状況になるとうっかり風邪も引けませんね。

どうぞご自愛ください。

緊急事態宣言発令から、そろそろ1ヶ月が経ちますが、栃木県を除く10都府県で延長することが決まりました。

飲食店を主なターゲットにした今回の発令は、ホントに頭が痛いものです。

協力金があるとはいえ、それが助けになっている店、焼け石に水の店、どちらにしてもお客様との接点が時短により、失せていることはマイナスでしかありません。

街中では、店頭のテイクアウト陳列が増え、〈ウーバー地蔵〉なるデリバリー代行業者がたむろしている姿は普通の光景になっています。

また、閉店した物件も珍しくなくなってきました。

目にするたびに心が痛くなります。

そんな中ですが、奮闘努力して必死に頑張っているお店も多数ありますね、頭が下がる思いです。

緊急事態宣言の延長で心が折れることがないように祈るばかりです。

ところで、街中のお店を視察しながら、最近、気になることがあります。

飲食店が取り組んでいる感染症対策のことです。

飲食店における〈安心安全の見える化〉はお客様の信頼を得るための必須項目となっていますが、多くの店は真摯に取り組んでおられます。

店頭入り口でのアルコール消毒剤の設置、マスクの着用、検温(お客様・スタッフ)、ソーシャルディスタンスの実施など、手間も経費もかけて実行していますが、長引くコロナ対応にゆるみが出てきているのではと感じることに出合うことがいくつかありました。

入り口で手指のアルコール消毒をするのは当たり前となった昨今ですが、消毒剤の置き方が雑な状態(向きが曲がっている、プッシュ頭が汚れている、置台がアルコールでびしょびしょ)だったり、なかには消毒液が空のまま放置されている店舗もありました。

マスクの着用も顎マスクの厨房スタッフが見えたり、鼻マスクのホールスタッフがいたり、中には使い古したようなマスク姿のスタッフがいたりする店舗も見られます。

ソーシャルディスタンスを実行するために座れない席に説明書きがあるのはよいのですが、破れていたり、汚れていたり、外れて曲がったままになっている店も見受けられます。

検温に至っては形だけのお店が多数です。

(キチンとした店は測定値をお客様に告げています。)

私たち飲食店の基本であるQSCの中のクレンリネスがほころびるのは、ダメ店になっていく兆候と言われるのは皆さんもご存じのとおりですね。

清掃のことを思い浮かべると、すぐ頭に浮かぶのが、『ピカピカが笑顔を呼ぶ』と言った羽田空港を世界一の衛生的な空港に導いた新津春子さん(清掃技術日本一)のことですが、彼女は人が見えない場所までピカピカにすることで有名です。

やっている雰囲気だけでは人の心は動きません。

このご時世、お客様も神経質になっていますね、何も言わなくてもよく店内を観察しています。

〈安心安全の見える化〉を、やっている雰囲気だけに見られるような取り組み方ではお客様の信頼は得られないということです。

≪そこまでやるの?意味ないんじゃない≫ということまでやってこそ「心を動かす」のです。

抜けがないように、お客様が喜ぶことは何なのか、毎日、強く考え続けましょう。

それこそが未来がある道ですからね。

ホント、たいへんですが今月も健康で頑張りましょう。

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