コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2021年7月12日

Vol.117 まん防下の飲食店事情

6月、特定地域の「緊急事態宣言」(酒類の提供禁止)が20日までで解除となり、まん延防止措置に変わりました。

そんな中、東京の街を視察しながら歩いてみました。

季節は梅雨時を反映してどんよりとした空の下、人の流れは全く平常時と変わりません。

どうやら多くの人は「発令」慣れしているのでしょうか、デパートも繁華街も人が少ないと感じることは全くありません。

飲食店が苦しんでいるのがうそのようです。

ひと通り街を歩いた後、夕方になったので、7時までの酒類提供に間に合うように、大手チェーンの大箱なら換気もいいだろうと、足を踏み入れました。

「いらっしゃいませ、何名様ですか?」

「3人です」そう言った後、あ、と思いました。

「まん延防止措置」の酒類の提供は、同一グループの場合、「入店は2人まで」と、「利用は90分以内」との制約があったことをです。

案の定、「申し訳ございません、ご案内することはできません。

都からの要請を守って営業をしているものですから」という言葉が返ってきました。

「あぁ、そうでしたね。

うっかりしてました。

それにしても大変ですねぇ」と答えると彼の口から嘆きの声が聞こえてきたのでした。

「長年この仕事をしていますが、テーブルがたくさん空いているのに、お客様をお断りしなきゃならないなんて、どうにも納得がいきません。

お客様の中には、人数が多ければ、分けて入れればいいじゃないかと言われる方もいますが、それをしてSNSで批判されたら怖いですし、ホントどうにもなりません。

悔しいです。」

そんな思いを聞いた私たちは「そうだよね、やり切れないね」という言葉を残して店を後にするしかありませんでした。

協力金があるとはいえ、大箱では家賃の補填にしかならないでしょう。

何よりお店を選んでいただいたお客様を断るのは、精神的にもきついのがわかるだけに気の毒でしかありません。

飲食店をターゲットにしたこんな対策しかないのでしょうか。

これだけ飲食店に忍耐をさせているにもかかわらず、感染者は増え続けています。

思い切った対策として、初回の緊急事態宣言の時のように、基本的に全業種を対象として、施設も全面ストップにして、人流を遮断する手を打つなどできないものでしょうか。

そんな中、新たなニュースが飛び込んできました。

解除して3週間しかたっていない「緊急事態宣言」が東京都にまたまた発令されるというのです。

期間は7月12日から8月22日までで、酒類を提供する飲食店には再び休業要請する。

7月11日が期限の沖縄県の緊急事態宣言と、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県への重点措置も8月22日まで延長するというのもです。

宣言対象地域では、酒類提供の禁止、重点措置地域でも原則停止とするが、一定の感染対策を実施した店舗では知事の判断で午後7時まで提供できる。

さらに、酒類販売事業者に、酒類提供を続ける飲食店との取引を自粛するよう要請するということが追加されました。

ふざけるな!と叫びたい気持ちです。

ホント、たいへんですが何とか耐えましょう。

またお客様の笑顔を見ましょう。

ではまた。

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