コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2014年4月15日

Vol.118 セロトニン

現代社会においてストレスを感じない人はいないと言われています。また、ストレスに負けない人もいないそうです。

新しい環境になり、さまざまなストレスが増えやすい4月、ここでストレスをためてしまい、いわゆる5月病と呼ばれるやる気が起きない状態になったり、うつ病のような状態になったりすることが多いですよね。

そんなストレスを減らす「幸せ物質 セロトニン」なるものがある、と最近話題です。

今回は、その「セロトニン」の話。

幸せ物質をいっぱいためて、ストレスの少ない生活を。

●幸せ物質「セロトニン」って?

セロトニンは「ノルアドレナリン」「ドーパミン」と並ぶ、脳内の神経伝達物質の1つで、ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、精神を安定させる作用があるそう。

人体中の約90%は小腸に、8%が血小板に、そして、2%が脳内の中枢神経に存在しています。

そして、このたった2%のセロトニンが、人間の精神に大きく影響を与えていると言われています。

セロトニンが不足すると、身体にも精神にも影響を及ぼし、疲れやすい、寝つきが悪い、落ち込みやすい、感情的になりやすい、などの症状が表れます。

また、ノルアドレナリンやドーパミンが暴走し、アルコール依存症など様々な依存症になるのも、このセロトニン不足が理由であったりもします。

そして、最後には、うつ病やパニック障害などの神経疾患の症状にもなったりします。

というわけで、ストレスを減らし、毎日を幸せに過ごすには、このセロトニンをバランスよく分泌する必要があるわけなんですね。

●セロトニンの増やし方

セロトニンの原料となるのは、トリプトファンという成分。

トリプトファンは、身体で作り出すことができず、いつも食材で摂取するしかありません。

トリプトファンは様々な食材に含まれていますが、特に多いと言われる基本5食材が「バナナ」「大豆製品」「乳製品」「卵」「ナッツ・ごま」。

これらを毎日とることが大切です。

また、トリプトファンをセロトニンに合成するのに必要なのが、ビタミンB6や炭水化物。

これらを一緒に、バランスよくとることもまた必要なわけです。

あまり深く考えることもなく、実は、これらをバランスよく含む食品が…。

それが「バナナ」です。

セロトニン合成のパーフェクトな食材。

朝食に、おやつに手頃に食べられるものいいですよね。

また、セロトニンは腸内で作られるので、トリプトファンが多く含まれ、腸内環境も整えてくれるヨーグルトも強い味方。

また、よく噛むという動作もセロトニンの分泌を促します。

お米を玄米にすると、ビタミンB6もとれ、咀嚼力もアップ。

ちなみに、「適切な食事」以外にも、セロトニンを増やすには「規則正しい生活」「太陽光」「リズム運動」なども必要なことをお忘れなく(笑)。

●セロトニンをとりすぎるとどうなるの?

脳内のセロトニンの濃度が高すぎると、「セロトニン症候群」と呼ばれる症状が表れます。

症状は軽いものから、頭痛、めまい、嘔吐、最悪の場合死に至ることもあるそうです。

ただ、これは、うつ病の治療薬の多量摂取や、複数の薬やサプリメントの摂取などによるもので、通常の生活で濃度が高くなりすぎることは、まずありません。

ま、どんなものにしろ、やらなすぎも、やりすぎもよくない。バランスよく、ということですね(笑)。

ところで、脳内でセロトニンを作る能力は、男性の方が女性より50%も高いそうです。

もともと女性は男性よりセロトニンが不足しやすく、更に月経などによりセロトニンが不足した症状も起こりやすいと考えると、女性の方が感情的(ヒステリック?)になりやすいというのは、しょうがないことなのかもしれません(笑)。

しかし、最近、昔はよくできた10円はげや肌荒れがなく、全く白髪もない私を主人は「ストレス全くないよね~」とバカにします。

ちっ。

セロトニンを作りやすい人にいわれたかないわっ(笑)。

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