コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2014年7月8日

Vol.121 ヤングコーン

先日、皮つきの生のヤングコーンが売っていたので、買ってきました。

帰って、子供たちに、皮をむかすと、

「なにこれ~」

「むいてもむいても何もないよ~」

「わぁ!ちっちゃいとうもろこしがでてきた~?」

「これ食べられるの~?」

と、大興奮。

そうか、昔は、缶詰めのヤングコーンが、必ずと言っていいほど、中華料理に入っていて、ヤングコーンの争奪戦が兄弟で繰り広げられていたが、最近はみかけなくなった気がする。

ということで、子供たちは、ヤングコーンを食べるのが初めてだったらしい。

これには、母も、びっくり。

今回は、ヤングコーンの話。

●ヤングコーンは、とうもろこしの赤ちゃん?

ヤングコーン、別名ベビーコーン、ミニコーン。

その名の通り、未熟なうちに収穫したものです。

通常、1本の株から1~2本のとうもろこしを収穫しますが、実際には、どんどん若い実がでてきます。

そのため、3本目以降は、先の2本を太らすために摘果します。

つまりは、間引きです。

芽キャベツは、キャベツと品種が違いますが、とうもろこしの場合は、ヤングコーンという品種がある訳ではなく、本当に赤ちゃんなんです。

大きくなれば、普通のとうもろこしになる訳ですから、皮の枚数も一緒。

なので、剥けども剥けども、なかなか実にたどり着けず…ということになり。

「大きくなったら、とうもろこしになるのに、もったいない(←これは、ただ単に、もっといっぱい食べたいという兄の意見)」とか、「かわいそう(←これは、食卓にあがればなんとも思わずに食べるくせに、小さいものを見て、かわいいと思う女子らしい妹の意見)」とか、騒ぎながら皮をむいていた子供たちですが、もともと、間引きされた実ですから、食べてあげた方がいいんです(笑)。

ちなみに、ヤングコーンと呼べるのは、ほとんどが「スイートコーン」という品種の幼穂のみだそうです。

他の品種では、間引きをしなかったり、してもあまり食べられなかったりするそうで。

●旬はいつ?

上記に記したとおり、ヤングコーンの収穫は、スイートコーンの栽培過程において、できるものなので、スイートコーンの収穫時期よりも前の5月末~7月上旬くらいです。

この時期しか、生のものは手に入りません。

昔は、流通が悪く、劣化が早いヤングコーンはなかなか市場に出回らず、水煮の缶詰や瓶詰も輸入物ばかりでしたが、近年は、皮つきのものをよく見かけるようになりました。

皮をむいて、真空パックなどでも売っていますが、皮をむくとすぐ甘みがなくなるので、皮つきのものをできるだけ早く食べることをおすすめします。

●おすすめはひげ。

とうもろこしの、ひげって何なんでしょう。

「絹糸(けんし)」と呼ばれる「めしべ」だそうです。

とうもろこしの粒ひとつひとつから伸びていて、花粉がつくと受精します。

つまり、とうもろこしの粒と、ひげの数は一緒ということになりますので、ひげがふさふさといっぱい生えているものは、実がつまっていることになります。

ところで、このひげ、大人のとうもろこしになると、しっかりとして食べると口の中で違和感を感じますが、赤ちゃんの時のヤングコーンのひげはやわらかくておいしいんです。

実は、内皮のやわらかい皮も食べられます。

筍と一緒ですね。

むいてもむいても皮ばっかり、と言わず、ぜひ、皮つきのヤングコーンを手に取り、内皮とひげも一緒にお楽しみください。

私のおすすめの食べ方は、そのままグリル。

あ、手抜きじゃないですよ(笑)。

本当に甘く仕上がるし、ひげや内皮も楽しめますから。

簡単ですし。

あ、手抜きじゃ…。

また、いっぱいあるときは、ごはんもおすすめ。

ひげも一緒に炊き込みます。

ところでとうもろこしの皮は、虫除けにもなるそうで。

プランターの下などにひくといいそうです。

そうやって、実を虫から守っていたんですね。

えらいな~とうもろこしは。

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