コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2014年8月12日

Vol.122 梅干し

今年は、初めて袋で梅干しを漬けました。

その漬けた梅干しを先日ベランダで干しました。

土用干しってやつです。

赤しそをいっぱい入れたので、真っ赤になっている梅干しが並んでいて、なんかかわいい…(笑)。

でも、「小梅ちゃん」というより、やはり、「男梅」って感じなのは、なぜでしょう(←勝手な思い込み 笑)。

ということで(?)、今回は、梅干しの話。

●なんでおばあちゃんの梅干しはすっぱいの?

子供に、「梅ジュースはすっぱくないのに、なんで梅干しはすっぱいの?」と聞かれました。

梅には、もともとクエン酸とかリンゴ酸といったすっぱいもとになる「有機酸」が含まれています。

塩とこの有機酸が合わさり、酸味を強く感じます。

逆に砂糖は、酸味を抑えます。

また、梅干しは、天日干しをすることで、水分がぬけて、酸味が濃縮されています。

ジュースの場合、薄まるので、あまり感じない訳です。

続いて、子供に、「売っている梅は酸っぱくないのに、なんでおばあちゃんちの梅はすっぱいの?」と聞かれました。

今、売っている梅の多くは、減塩がほとんどです。

塩分が強い方が、酸味は感じます。

また、減塩の梅は、2度漬けをしていたり、梅酢で漬けていたりするため、有機酸が溶けだし、濃度が薄まるので、すっぱくなくなる訳です。

●梅干しをきらすと不幸になる?

私の祖母は、「梅干しが切れるとその家に不幸が起きる」と、毎年たくさんの梅を漬けていました。

小さい頃は、それを信じ、梅干し、まだある?とよく聞いていたことを思い出しました(笑)。

梅干しを切らすとどんな不幸が訪れるのか…。

夏のお弁当には、梅干しを入れた方がいいとか、梅干しを入れてごはんを炊くといいとか、よくいいますよね。

梅干しには、殺菌作用があるからです。

食中毒を防止したり、コレラや腸チフスなどの伝染病の予防や治療にも効果を発揮し、江戸時代に薬として重宝がられたとか。

もし、梅干しがなかったら…?と不安に思った人が「梅干しは切らしてはいけない」「梅干しを切らすと不幸になる」となったんでしょうね。

ちなみに、やけどや切り傷などにも梅干しをぬっていたそう。

う~ん、ほんとにこれは治るのか…。てか、切り傷は痛いですよね…。

●ほんとに梅干しは身体にいいの?

クエン酸不足は、疲労や体脂肪増加を招くとされています。

これが、「酸っぱいものは身体にいい」といわれる理由です。

また、酸っぱさが舌に伝わると、体内の消化器官にそれが伝わり、消化液が分泌され、胃や腸が活発になるため、食欲がわくとされています。

夏には、汗と共に塩分が出てしまうので、塩分も必要となり、梅干しは、夏バテ防止食品としてはもってこいなんですね。

他にも様々な効用が言われていますが、それよりも、今の時代怖いのが、塩分のとりすぎ。

ということで、身体にいいといわれる梅干しも、微妙な健康食材になってきているようです…。

梅干しは、何年も保存することができ(減塩はダメですよ)、400年以上も前に作られた梅干しが食べられたとされる記録もあるそう。

祖母がなくなって20年以上たちますが、いまだ、実家の床下には、祖母が漬けた、しょっぱい塩をふいた梅干しが残っています。

まだ、いけるか(笑)。

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