コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2022年5月10日

Vol.127 丁寧な教育の大切さを再確認

こんにちは。

5月を迎えて、穏やかな日が増えてきましたね。

街中はGWを迎え、人出はかなり増えて、賑わいを見せています。

過去2年はGWの最中に〈緊急事態宣言〉が出ていて、多くの方が外出を控える状況で、街が寂しい感じがしたものですが、今年は、この間、ワクチンや薬の開発によってその脅威が減少したことにより、違った景色になっています。

第7波の懸念があるものの安心感が出てきたことで、“ウイズコロナ”への覚悟が進んだ、
“ウイズコロナ”の生活が始まっているということでしょう。

そんな中、飲食店はどのような状況でしょうか。

“ウイズコロナ”を意識しながら、経営を行っている大変さが想像できます。

そんな思いで今回も街を歩いて、頑張っている飲食店を視察しながら覗いてみました。

夕刻、まだピークが来る前の鮨居酒屋を見つけて入店しました。

「いらっしゃいませ」と声をかけられ、入り口で「検温」「手指の消毒」を経て、ボックス席に案内され、着席するとメニューを出されてと、ここまでは、基本のお出迎えとご案内の流れでした。

ですが、続けて、「お飲み物は何になさいますか?」と聞かれたので、瓶ビールを注文すると、「銘柄は何になさいますか?」と問われたので「何がありますか?」と聞いたところ「・・・」。

銘柄が応えられません。

新人さんで、まだ覚えてないのだとわかったので、こちらから「キリンで」と注文しました。

すると、しばらく待たされたので「キリンはないんじゃないか?」と同席のスタッフと話していると、彼女が戻ってきてこう言ったのです。

「申し訳ありません、キリンは置いていません。

あるのは○○と○○と○○と、一番搾りだけです。」

スタッフと私はハモるように「それ、それ、キリンだから。」

「え?あ、はい」と彼女はいまいち、わかっていないようでした。

そうなんです、何もわからず、いきなりアルバイトをしたら覚えることが多すぎて、オペレーションが先になりますから、商品知識は後回しになってしまうのです。

キリンというメーカーの作る一番搾りという銘柄、なんてことは最後の最後でしょう。

「いやあ、それぐらい当たり前のことで、誰だって知ってるでしょう」なんて言うのは、酒飲みのおやじのセリフであって、お酒なんて飲んだこともない、興味もなく毎日を過ごしている若い学生にとっては、コンビニやスーパーの酒の棚なんか眺めたこともないし、ましてや居酒屋で過ごしたこともないのですから、わからなくて当たり前なのです。

「10代、20代の半数がテレビをみない」という調査結果もありますから、ビールのCMを目にしない若者も多いのでしょう。

ビールの銘柄なんで、当然、知らないわけです。

だったら、居酒屋で働くなんてしなきゃいいのにというのも乱暴な意見です。

時給が良くて自分に合う、働きやすい職場がそうそうあるものではありません。

ということで、丁寧な手間のかかる教育はやっぱり職場がやらなくてはいけないのです。

しわ寄せはお客様に影響してしまうからです。

かくして我々は、できるだけ彼女に問いかけはしないで過ごしたのでした。

ところが、帰りがけに、またまたひと騒動が・・・。

それはまた来月。

ホント、たいへんですが何とか耐えましょう。

お客様の笑顔を創りましょう。

ではまた。

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