コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2015年3月10日

Vol.129 甘酒

うちは、毎年2月に米こうじを取り寄せ、大量の味噌を仕込みます。

今年は、そのこうじを少し多めに取り、初めて甘酒を仕込みました。

もち米でお粥を炊いて、米こうじを混ぜ、保温しておくと、みるみるうちに甘くなります。

本当に、びっくりするくらい。

小さいころ、飲ませてもらった甘酒が、お酒臭くて、変に甘くて、今思えば、酒粕で作った甘酒だったのでしょうが、それ以来、甘酒は嫌いと思い込み、恥ずかしい話、今に至るまで、ほとんど飲んだことがありませんでした。

もちろん、飲んだこともないので、内容を考えてみたこともなく、米麹でつくった甘酒は、砂糖が加えられてないことも知らず…。

ということで、30数年ぶりにして甘酒を見直し、飲むにも料理するにも、はまっている今日この頃。

●ひな祭りに飲む白酒は、甘酒と違うの?

自分がはまっているので、もちろん子供にも飲ませます(笑)。

すると、「甘酒ってお酒じゃないの?」

「右大臣は、赤いお顔するじゃん」と。

あ、おひな様の歌ですね。

確かに。

でも、右大臣が飲んでいるのは、白酒。

うちの子供に限らず、甘酒と白酒は同じものと思われている方が多いようです。

が、かなり違います。

白酒は、蒸したもち米にみりんなどを加え、1ヶ月ほど熟成して作られ、アルコール分は10%前後あります。

酒税法上のリキュール類に該当し、家庭では作ることを禁止されています。

もともと、ひな祭りには、桃の花をお酒に浸した「桃花酒」が飲まれていたそうですが、白い色がきれいなこともあり、江戸中期ごろから白酒が好まれるようになりました。

甘酒は、1晩でできることから、一夜酒とも呼ばれ、ひな祭りには、大人は白酒で、子供は甘酒でお祝いをするようになったようです。

ということで、うちは、甘酒で今年のおひな様をお祝い。

●甘酒にはまったくアルコールは入ってないの?

甘酒は上記でもちょっとふれましたが、もち米(あるいはうるち米)と米こうじだけで作れます。

砂糖もお酒も入りません(市販のものは入っているものもあり)。

アルコール分は1%未満です(酵母により、発酵の程度に応じ、アルコールを極微量含むこともある)。

しかし、私がおそらく小さい頃、飲んだであろう甘酒は、酒粕で作ります。

お湯に、酒粕を溶き、砂糖やみりんなど甘味を加えます。

酒粕には、アルコールが含まれているため、作られた甘酒にもアルコールは残る場合があります。

若干ですが、注意が必要です。

ちなみに、ほとんど残っていない、1%以下の甘酒も、酒粕で作られたものは、お酒の風味が残っているからか、子供たちは嫌って飲んでくれませんでした…。

●甘酒は、飲むときれいになる?

甘酒は、飲む点滴ともいわれるほど、栄養価が高く、ビタミン類、9種類のアミノ酸、ブドウ糖などが含まれています。

麹、という言葉と、発酵食品、という言葉だけでもう、身体によさそうですよね(笑)。

美肌効果、腸内環境の改善、肥満抑制効果などの効果があるといわれていて、近年、人気がでています。

また、点滴といわれるだけあり、疲労回復、風邪予防、花粉症予防にも効果があるそうですから、夜寝るまえに飲むと、疲れた身体をリセットし、次の日からまた元気に過ごせそうです。

もちろん、お子様にもおすすめです。

ちなみに、酒粕から作られているものは、お砂糖も入っていますから、この効果が期待できるのは、米こうじから作られている、発酵食品の甘酒です。

甘酒飲んで、赤い顔ではなく、美白効果で白い顔になったらいいなぁ(笑)。

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