コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2015年10月13日

Vol.136 栗

栗の季節がやってきました。

品種が改良されたり、ハウス栽培ができるようになったり。

流通も保存もよくなり、季節を問わず手に入れられるものが増えてきましが、やはり、その季節にしか手に入らないものもあり。
 
栗もそのひとつですね。

初夏も手仕事に大忙しですが、この季節も手仕事に大忙し~。

先日は、栗の渋皮煮を作りましたが、ちょっとだけ、食べたあとに渋さが残り…。

ん~くやしい~?

ということで、また、昨日1㎏栗を買ってきてしまいました。

今回は、栗のお話。

●丹波の栗って品種?

丹波の栗ってよく耳にしますよね。

でもこれは、品種じゃありません。

ブランド名です。

京都の丹波地方でとれる栗をさします。

品種としては、「銀寄」や「筑波」などが中心です。

この丹波の栗、大きさも品質も非常に優れているものが多いため、とても高価なのですが、全国の生産量からすると全体の1%ほどしかないため、希少価値となり、価格を上げることになっているということもあるようです。

また、甘栗が中国栗なのは有名ですが、最近では、ヨーロッパ栗もよく見かけるようになりました。

和栗よりも、甘みは少なめですが、品質はよく、マロングラッセや焼き栗などにむきます。

また、肉料理などの料理にも合います。

中国栗もヨーロッパ栗も、日本では育てられないそうです。

ヨーロッパ栗で渋皮煮を作っても、それはそれで、なかなかいけました(笑)。

●栗って身体にいいの?

山の動物たちは、栗やどんぐりを蓄え、厳しい冬を越す準備をします。

人間も狩猟時代、栗は冬にむけての大切な蓄えでした。

ということは、なんだか、栗ってとっても栄養価が高い気がしませんか?

しかも、あのイガイガ。

外敵から身を守っているものって、なんだか…(笑)。

そうなんです。

栗は、身体にいいんです(笑)。

まず、栗は、豊富なでんぷん質を含みます。

このでんぷんは樹上でとれる浄化された貴重なでんぷん質で、いも類に比べとても粒子が細かいため、消化も良く、疲労回復や滋養強壮に最適です。

また、でんぷんですから、食物繊維ももちろん豊富です。

ビタミンB1も多く、更に疲労回復の効果を高めます。

栗の豊富なビタミンCはでんぷん質のおかげで、熱にも壊れづらくなっています。

中医学的には、身体を温めてくれ、胃腸を強くしてくれる。

なんか、聞いてるだけでもすごいですよね~。

更に、渋皮には、みんな大好き(笑)、ポリフェノールが豊富です。

山の熊たちは、本能でわかっているんですね~。

私も渋皮煮食べなきゃ(笑)。

あ、でも、カロリーも高いですからね。

食べすぎには注意です。

●保存すると甘くなるの?

最近、茨城の「貯蔵栗」がブランド化をしてきているようで、よく見かけるようになりました。

貯蔵?新鮮な方がおいしいんじゃないの?と思いきや。

栗は、採りたてよりも、貯蔵した方が、甘くなるとか。

低温(0℃)貯蔵をすると、4~6週間程度経過したところで、もとの3倍程度の糖度になるんだそうです。

そのあとは、また少しずつ糖度が下がります。

常温で保存した場合、糖度はほとんど変化しないそうです。

また、栗には虫がついていますので、80℃のお湯で、1分茹でてから、貯蔵するとよいそう。

あ、でも、売っている栗は、貯蔵されて糖度が上がっている状態で売っていることもあるので、そこから更にまた貯蔵しないよう、確認してくださいね。

以前は、栗を水につけておくと、虫が2~3匹でてきていましたし、茹でて、割って食べようとすると数個は、中に虫がいるのが当たり前でした。

が、最近、なんだか、栗の中に虫をみかけません。

最近は、防虫剤を使用したり、収穫した後、燻蒸(いぶ)したりしていることが多いようです。

このおかげで、虫入りにあたらなくなりましたが、それもどうしたものかと思う今日この頃。

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