コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2023年4月10日

Vol.138 効率化の影で失われた心

こんにちは。

4月に入り、本格的な春らしいポカポカ陽気の日が増えてきましたね。

4月から、新生活がスタートした方も多いのではないでしょうか。

新型コロナの感染は、もう社会を動かすほどではなくなりましたね。

ただし、専門家の見解では、代わりにインフルエンザが6月ごろまで続くとのことですから、皆さんお気をつけください。

厄介者はいつも存在するものです。

やれやれですね。

さて、今回は打ち合わせの後、食事会をしようとして出会った飲食店での話です。

その店は飲食ビルの上階に位置し、各階連なる名前は有名店も入っており、安心感のあるビルの構えでもありました。

どこに入ろうか迷った末、選んだのは「水炊き」の店でした。

売り物は明確で、看板の商品コルトンも美味しそうな写真が湯気を上げていて、そそられたため選びました。

エレベーターが着き、進むとすぐに店内が見えました。

民芸調で大衆的な雰囲気を持ち、特に気なる様子もないため「まあ、ここでいいんじゃないか」と店内に進みました。

ところが、ここからが気になることばかり。

「予約してます?」やってきた女性スタッフの第一声がこれです。

「いや、予約はしてないんだけど、3人です。」

なんか腑に落ちないやり取りからとなりました。

「あぁ~それじゃこちらへ、大丈夫です。」

明るさも笑顔もなく、大丈夫と言われても、ガラガラスキスキの店内を見ながら〔そりゃ、大丈夫だろうよ〕と突っ込みたくなる衝動を抑えながら、ついていったのでした。

案内されたテーブルはちょっと小さめでしたが、それより気になったのは乱雑に置かれた椅子です。

時間的に考えても、このテーブルの最初の客が我々のはずですから、開店前の準備で手を抜いているということでしょう。  

彼女は当たり前のように棒読みで「ご注文はこちらのQRコードでお願いします」と言って、さっさとパントリーの方向に去っていったのでした。

〔QRコードわからないお客様なんかいないということなのね〕と、また突っ込みたい気持ちを抑えて座ろうとしたその時でした。

「これ見てくださいよ」連れの彼が指さすその先には、信じられない光景が…。

なんと箸置きや調味料が置かれた周辺にはカスゴミがちらほらと散らばっているではないですか、箸置きをどけてみるとその下には更に食べカスのようなものがパラパラと転がっている始末です。

もうだめでした。

「やめやめ!出ましょう、出ましょう。」

皆の返事を聞くまでもありませんでした。

私はさっさとエレベーターホールに向かったのでした。

皆もあきれている様子でしたが、そりゃあきれるのが当たり前です。

昨日の戦場が荒れたまま残っている現場に案内されるとは誰も考えませんからね。

さらに驚いたのは帰ろうとしている我々の行動に先ほどのスタッフを含め誰も気がつかないのか、無視なのか、呼び止めどころか、姿さえなかったことです。

QRコードを取り入れるのも、タブレット端末の導入も、キャッシュレス対応も、ロボットの導入も、効率化や人手不足などを考えれば理解できます。

しかし、人手がなくて済むことが“心”が見えなくなる事につながる様子が見えれば話は別ですね。

経営は効率という数字が見えても、お客様の心が見えなくなっては本末転倒です。

ホント、大変ですが頑張りましょう。

お客様の笑顔を創りましょう。

では、また。

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