コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2016年1月12日

Vol.139 なます

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

年末に、料理愛好家の平野レミさんが、NHKの番組で、15品のおせち料理に挑戦されていました。

1時間半の生放送で(笑)。

放送前からネットでは、レミさんの発言、料理に期待がかかり。

放送後は、もちろんいろんなところで、話題になっていました(笑)。

私はもちろん、レミさんのファンですから、録画して見ましたよ~。

その中で、アシスタントさんにふられた「なますってなんですか」の台本にない質問に、レミさんは、「『生』の『酢』でなますかなぁ」なんて答えらえていましたが。

さすが(笑)。

私的には、レミさんの答えは、「あり」なんですが…。

レミさんですから(笑)。

でも、調理用語的にはちょっと違っているので、今回は、お正月も終わりましたが、「なます」のお話を...。

●なますって...?

膾も鱠も同じもの。

月(にくづき)は肉のこと。

魚(さかなへん)は、魚のこと。

會は混ぜ合わせるの意。

すなわち、膾・鱠は、肉あるいは魚を細く切って混ぜ合わせた料理をいう(調理用語辞典より)。

ということだそうです。

もともと中国の料理だったようです。

膾・鱠は。

日本でも、肉を和えたものを膾と呼んでいましたが、そのうちに、魚が入るようになり、野菜を和えるようになり、精進料理としてのなますも作られるようになり。

室町時代からは、酢で和えた細切りにしたものをなますというようになったようです。

「なます」という読みは、「生(なま)」+「肉(しし)」から来たようですが、酢が使われるようになってからは、「生」+「酢」と解釈されるようにもなったとか。

あながち、レミさんも間違っていません。

●おせちのなますには何が入るの?

おめでたい紅白の意味を込め、また、水引に見たて、紅と白のにんじんと大根でつくるのが基本です。

このとき、にんじんは、西洋にんじんではなく、金時にんじんで作った方が、色がさらに赤くなります。

大根とにんじん以外に入る魚は、北海道の「氷頭(ひず)なます」、長崎の「くじら」兵庫の「しめ鯖」など、地域によってさまざまなようです。

うちは、父親の出身が新潟ですが、氷頭をよくなますに入れていました。

氷頭って知っていますか?

鮭の鼻の軟骨の部分です。

年末に丸ごと1匹鮭が送られてくるので、必ず、氷頭の部分はとっておいて入れます。

最近、ずっと食べていませんが…。

他にも、柿を入れたり、華やかに5色にしたりと、種類はいろいろです。

ちなみに、柿は、酢の中にずっといれておくと溶けてしまうので、和えるのは、食べる直前にします。

また、和える前に、砂糖水でさっと洗ってから、和えるようにすると、溶けずに形が持つようです。

●羹に懲りて膾を吹く?

ことわざに、

「羹(あつもの)に懲(こ)りて膾(なます)を吹く」

というのがあります。

熱い吸い物で火傷した人がそれに懲りて、なますや和え物のような冷たい料理も、吹いて冷ます意から、一度の失敗に懲りて、必要以上の用心をすることのたとえです。

羹とは、あついものの意味で、野菜を煮た吸い物を示すそうです。

昔から、本膳や茶懐石の1品としてなますがあったことがわかることわざですね。

昔、祖母がおせちで作っていたなますは、にんじんの色が強く真っ赤でした。

自分で作るようになってからわかったのですが、にんじんは、色が強く感じるのです。

なので、大根よりも少なめに切った気でいても、混ぜると思っている以上に赤くなる…。

ものの本には、1:5がいいとか、1:8がいいとかいろいろ書かれていますが、私は、なますの大根とにんじんを、すごく細いせん切りにするため、1:12~15くらいの割合が好きです。

金時にんじん1に対して、大根が15。

これでちょうどいい。

赤という色は、すごいですね。

一度みなさまも計って、お好みの分量の比を見つけてみてください。

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