コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2017年5月9日

Vol.155 大根の実

さて、突然ですがみなさま、大根のどこの部分がお好きですか?

葉っぱ?

根?

さらに分けるのであれば、根の先の部分?

ここは、辛いから大根おろしにするとよいと言われていますね。

真ん中の部分?

ここが一番甘くてみずみずしい部分です。

他には、大根のスプラウト、カイワレ大根が好きという方もいらっしゃるかもしれません。

そのくらいですか?

いやいや最近、「大根の実」という部分が、エントリーされました。

大根の実?

ということで、今回は...。

●大根の実ってどこの部分?

大根は普通、肥大した根を食べる野菜です。

もちろん、葉もおいしいですが。

その大根を収穫せずにそのまま育てると、トウが立ち、大根の菜の花を咲かせます。

そして、その花が咲き終わると実ができ、中で種ができます。

これを乾燥して、秋に種としてまた蒔くのですが。

そこです。

乾燥する前です。

そのさやがまだ若く、柔らかいうちに収穫したものが、大根の実です。

なので、さや大根とも言います。

サイズ的には3~4cmくらい、かわいいスナップえんどうといったところでしょうか。

さやまで食べるスナップえんどうが不動の人気野菜となりましたが、この大根の実も同じように人気の野菜になる日も近いかもしれませんね。

ところで、大根の花は、食べることもでき、色もきれいなうえ、味はちょっとぴりっとして大根そのもの。人気のエディブルフラワーです。

そしてもちろん種から生えてきたのがスプラウト、カイワレ大根。

魚では、稚魚から成魚までおいしく食べられるものを出世魚と言いますが、まさに出世野菜。いろいろな状態で、部位で楽しめるなんで、つくづく大根はすごい野菜です。

●どうやって食べるの?

まずは、そのまま生で食べてみてください。

シャキッとした食感、大根らしいぴりっとした辛味、さわやかなみずみずしい香りが口に広がります。

ただ、ものによっては、繊維が固いものもあるようで。

その場合は、さっと塩ゆでがおすすめです。

サラダに、炒めものに、お口直しに。

小さいので、お弁当サイズにもちょうどいいですよね。

ただ、旬の4~5月しか出回らない貴重な野菜。

だからいいんですけどね。

そのうち年中みかける野菜になっちゃったりして。

●大根の種って漢方薬なの?

中医薬膳学では、大根の種は、萊菔子(らいふくし)と呼ばれ消食薬として使用されます。

消食薬とは、胃腸の働きを高め、消化を促進し、消化不良を治療します。

萊菔子(らいふくし)は、慢性的な消化不良に特によいと言われ、お腹がはった状態、それによる腹痛、下痢や便秘などの大便失調、また、咳や喘息などにも用いられます。

大根の実は、中薬と同じ効果とはいえませんが、働きは似ているとされます。

おいしくて、食べやすく、消化も促進してくれ、しかもかわいいなんて、これから注目の野菜ですね。

ちなみに、インドやタイなどでは、大根の根の部分はあまり大きくならず、そのさやを主に食用とする品種もあるそう。

日本の大根から取ったさやと味が違うんですかね。

食べてみたいものですね~。

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