コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2024年11月11日

Vol.157 共同経営は慎重に検討すべき

こんにちは。

相変わらず例年の天候とは違う日が続いていますね。

11月になっても夏日になる日があったり、凄い雨が新幹線を止まる日があったり、夜は寒い日が現れたりで、なんだか調子が狂いますよね。

こういう天候は、飲食店のお客様にも影響を与えるものです。

足早に帰路に就く方が多いように感じられます。

半ば過ぎには秋到来とのことですが、ホント普通に過ごせる天候になってもらいたいものです。

皆様も体調、十分お気をつけください。

相変わらず、東京の街を歩いていると、インバウンドの外国人が多いのに驚かされます。

彼らだけが行列を作っている店もあり、外国人トレンドに乗っている店は大繁盛です。

商売の手段を立地によっては考え直さないといけないでしょうね。

さて、今回はそんな中、新店としてオープンしたお店の悲劇ともいえるお話です。

その店は駅近の条件の良い立地に4か月ほど前にオープンしました。

通りがかりに覗くと、オシャレな内装、高そうなコーヒーマシンが見えて、美味しい珈琲が飲めそうなカフェです。

いつか入ろうと思いながら、1ヶ月が経ったころ入店しました。

センスの良いメニューブックを開いて早速コーヒーを頼みました。

500円ですが、高いとは思いませんでした。

経営者でしょうか、気さくに話しかけてくれて挨拶程度の会話でしたが、気分よく過ごせたので、それから何度か足を運んで3ヶ月ほど経った先日のことです。

「申し訳ありませんが、お店閉めるかもしれません。」

「え、どうしたんですか?」

聞き返した私に、堰を切ったようにその経営者は話し始めました。

「実は私は、飲食店は初めてなんです。

他の事業が不景気で将来が心配だったので、以前から興味があったカフェで何とかしようと計画したのですが、一人では不安で、〔俺も一緒にやらせてほしい〕という方が現れたので意気投合して始めたんです。

ところが・・・。」

つまり、共同経営で始めたということらしいのです。

ところが計画が進むにつれて、意見が合わなくなり、その方は、途中から話し合いにも参加しなくなり、[儲かった利益だけ入れてくれ]ということで進めていたらしいのですが。

ですが、飲食店はそんな甘いものではありませんね。

オープンしてすぐに大きな利益が出るはずもありません。

利益どころか、開店当初は赤字続きで、なんて話はよく聞くことで、ここもそうなったわけですが、その共同経営者は[そんなのは嫌だ、俺は降りる]と、自分の資金を返してくれなければ、店を閉めてくれと言い出したそうで。

聞いていた私の口は空いたまま、ふさがりませんでした。

物件の契約はその人名義と聞いた時には、他人事ながら絶望感がのしかかりました。

「『共同経営』は絶対やるな!」と私は顧問先にも、新規参入者にも言い続けてきました。

成功例を見たことがないからです。

こんなところでまたその例に出合うとは・・・。

ここの経営者は、続けるにしろやめるにしろ、今後、大変な処理が待ち受けています。

苦労してようやくオープンまでこぎつけたのに、半年もたたないうちに、閉店の話で揉めるとは・・・。

アドバイスをしたくても、軽はずみに口を出せることでもありません。

共同経営は、資金面の負担の低減や相乗効果が生まれるなどのメリットが期待できますが、利益配分や経営責任など、さまざまな面でトラブルを引き起こすリスクもあります。 

共同経営を考えられている方は、最初の取り決めや手続きが非常に重要になりますね。

共同経営をお考えなら、トラブル回避のために、慎重に検討されることをお勧めします。

では、また。

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