コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2025年2月12日

Vol.160 「まだ大丈夫」が招く未来

早くも2月となりました。

2月3日は立春でしたが、今季一番の寒気襲来で日本各地は大雪となり影響が長引きましたね。

火事や災害のニュースばかりではなく、政府は少数与党になり、経済も大手が弱体化しているようなニュースがいくつも報道されて、なんだか不安な感じですよね。

同じ体制が長く続くと、ひずみが出てくるというのはよく知られていますが、“まだ大丈夫”と現状を変えないのは、問題発生の根源でもあります。

自民党の問題やフジテレビの騒動、陥没事故の発生、米を含む食品の高騰なども、現状まだ大丈夫という長年の油断から起こっているように思えてなりません。

我々の事業もそんな落とし穴にはまらないように、現状を見直していかなくてはならないと思うのです。

今回はそのことを考えさせられるお店に出合ったお話です。

ひと仕事終わって、スタッフと「飯食って帰りましょう」と街を歩きながら、歴史がありそうな、趣を感じられる蕎麦屋を見つけました。

料理サンプルは無いほうがいいくらい朽ちていましたが、長年営業している「町蕎麦」にはよくあることだと目をつぶって入店しました。

30席ほどの店内に、お客様はちらほら、30代でしょうか若手の従業員が普通に迎えてくれ、「どうぞ」と言われるままに勝手に席を見つけて座りました。

メニューを見て「昔ながらの蕎麦屋だねえ、こういう店もたまにはいいよね。おでんもあるよ」と、ビールとともに注文し、食事は蕎麦屋の定番ヒットメニュー「かつ丼セット」を私は選び、スタッフは「カレー南蛮」を注文したのでした。

ビールとおでんが運ばれてきて、嫌な予感が走りました。

レトルトのおでんがバレバレです。

「あらら、こりゃ失敗したね。」

まずいわけではないので、「まぁ、蕎麦屋だからね、ご愛嬌だよ。」

「えぇ、つまみですから」と乾杯したのですが、それからがいけない。

その後、かつ丼セットとカレー南蛮がテーブルにやってきましたが、やけに蕎麦が白いのです。

「更科」とは明らかに違うのでした。

「ヤバすぎるぞ、蕎麦じゃない、これはうどんだ!!」

「ですね、細さは蕎麦ですが、これはうどんですね」

そうなんです、全くそば粉を感じない麺だったのです。

駅蕎麦や立ち食いでもここまでそば粉を感じない店には出会ったことがありません。

そば粉が値上がりしているのは確かですが、ここまでそば粉の量を減らして節約するのは問題でしょう。

経営を考えてそうなったとしても、蕎麦屋に入って蕎麦が食べられない店なんて、お客様が理解するわけはありません。

《まだ大丈夫、まだ大丈夫》を繰り返して、今の商品になったとしたら、これから大きなしっぺ返しがやってくるでしょうね。

かつ丼が美味しかっただけに残念です。

会計の時に「カードかPAY払いは?」と聞いたら「使えません、現金だけです」とのこと、手数料節約というわけね。

そろそろお客様便利も考えたら、と言いたくなりました。

店を出てから、ネットで店の評判を調べたところ、「カレーがうまいです」「この店で蕎麦は食べません」「白い蕎麦初めて食べました」「食堂と思って昼飯だけ行きます」「蕎麦以外がうまいです」「かつ丼以外食べません」とお客様は、もうわかっているのです。

《まだ大丈夫、まだ大丈夫》と品質低下を続けていれば、怖い結末がやってくる店になっているのではないでしょうか。

ホント、大変ですが頑張りましょう。

お客様の笑顔を創りましょう。

では、また。

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