コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2018年2月13日

Vol.164 陰陽学説

さて、先月より続きまして、私事の薬膳の話。

せっかく国際薬膳師の資格を取り、まだ勉強してるの?と家族にはあきられながらも、いまだ中医学の勉強をすすめております(笑)。

ここいらで、少しずつアウトプットをしていこうかと。

インプットだけですと、なかなか自分のものになりませんし(笑)。

ただ、もともと中国から来た学問で、漢字が多く、頭がこんがらがるような内容ですので、それをかみかみかみ砕いて、コラム的なかる~い感じでいこうと思っております。

気軽にお付き合いいただければ。

今回は、まずは陰陽の話。

●陰陽ってなに?

何?っていうほどのものでもありませんが。

ものごとはすべて「陰」と「陽」にわかれる、という話です。

太陽と月があり、表と裏がある。

つねに対立していると。

ここで大切なことは、どっちが大事、ということではなく、バランスが大事ということです。

太陽だけでは困りますし、世の中女だけでも困ります。

身体ももちろんそうです。

食べ物にも、すべて陰陽があります。

これらをすべてバランスよく食べることで、身体もバランスよくなりますよ、ということが薬膳の基本です。

●1年中同じバランスでいけるのか?

そうです。

次に気にしなければいけないのは、そのバランスは1年中同じなのかということです。

春が訪れるころに「陰消陽長」という言葉があります。

文字通りです(笑)。

春分を境に、陽の気(気はエネルギーのこと)が陰よりも強くなります。

どんどん上昇し、夏至をピークにまた、陽の気は下降し始め、今度は、秋分を境に陰の気が強くなっていきます。

つまり、春分を境に、陰の気は消え、陽の気が長くなっていくということで。

今、その時期ですね。

外の気と共に、身体も気の優勢が変わり始めます。

身体の中で、陽の気がうずうずとし始め、どんどん強くなっていくわけです。

そのため、今度は、食べ物でそれを調整していきます。

陽の気がピークに達している夏に、陽の気がこちらもいっぱいある冬の野菜を食べたらどうなるでしょうか。

身体は、陽、熱を持ちすぎてしまいます。

そのため、陰の気が多い、夏の野菜を、夏は食べるといいわけなんです。

つまり、春分、秋分の時期は、基本は、陰陽をバランスよくとりながら、次の季節に備え、今であるならば、少しずつ陰の食べ物を増やしていく、ということですね。

また、これは1日の中でも言えることで、朝は陽の気が増えていき、昼をピークに減り始めます。

そのため、身体を冷やすフルーツなどは、朝食べるといいと言われるわけです。

●もうひとつ大事なことが...。

陰陽のバランスをとるときに、もうひとつ大事なことが。

「陰陽偏盛」または「陰陽偏衰」。

前者は、どちらかが旺盛になること。

後者は衰弱すること。

例えば、陰の気が多くなりすぎて、バランスを崩すのと、陽の気が減りすぎてバランスを崩すのとでは、どちらも陰が強く陽が弱い状態ですが、症状が変わってきます。

前者の場合は、まず、陰のものを取り除くことを考え、後者の場合は、陽の気を増やすことを考えます。

この辺が、薬膳処方の難しいところ。

一般に、日々の体調は旺盛による不調が多いように思います。

つまりは、どちらかのものを食べ過ぎ...?

粗食、腹八分などがいいというのは、ここら辺からもよくわかりますね...(笑)。

ちなみに...。

この陰陽の考え方をもとに日本人にあった食生活をと考えられたのが、マクロビオティックスとされています。

マクロビオティックスも、陰陽のバランスをとることを中心に考えられた食事法ですが。

よくよく勉強していると、ちょっとだけ、微妙にとらえ方が違うとことがあったりします。

例えば、中医学の陽は、熱、上昇、といったイメージでとらえるのですが、マクロビオティックスの陽は、収縮していくエネルギーであり、陰が拡散していくエネルギーとなります。

陽が身体を温め、陰が冷やす、ということは、ほぼ同じなのですが。

ということで、実は、マクロビオティックスコンシェルジュなんて資格もとった私は、勉強しているときに頭がとてもこんがらがったものでした...。

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