コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2018年5月8日

Vol.167 薬膳食材の分類(2)

中医学における食材の効能の分類分け。
 
前回は、解表類、清熱類、去湿類の3つを説明しました。

今回は、それに続く第2弾。

●温裏類(おんりるい)

温裏類は、臓腑を温め、抗寒能力を高めます。

「裏」は、中医学では、身体の奥(中)のことを指します。

つまり、表面の寒さというより、更なる身体の中、臓器の冷えを改善してくれる食材です。

なので、子供やお年寄りなど、身体が弱い方には、注意が必要な食材も含まれます。

ニラ、唐辛子、シナモン、コショウ、鮭、鯵、黒砂糖など

この分類は、香辛料がほとんどです。

また、中医学では、氷砂糖は、身体を冷やし、黒砂糖は身体を温めるととらえます。

シナモンは特に身体を温める食材とされ、これは、今、他でもよく言われていますね。

身体、特に腎を温めることで、腰痛などの痛みにも効くと言われます。

●理気類(りきるい)

「気」と呼ばれる身体をめぐるすべての流れを順調にしてくれます。

気が留まっている状態、気が逆流している状態、それを正常にしてくれます。

それにより「鬱」などにもよいとされています。

玉ねぎ、らっきょう、えんどう豆、そば、かんきつ類、ジャスミンなど

香りのよいものが多いですね。

ハーブでのリラックス効果などを考えても、同じことなのだと。

また、滞りは冷えからくることが多いので、身体を温める食材も多いです。

●理血類(りけつるい)

理血類の作用の中には、「止血(しけつ)」「活血(かっけつ)」に分かれます。

血を止める作用と、血を元気にめぐらせる作用が同じ分類なのはわかりづらいのですが、止まっている血を流し、違う所に流れ出す血を戻し、正常な血の流れにする、と考えるとイメージしやすいかと思います。

【止血(しけつ)類】:各種出血証を治療します。

蓮根、空芯菜、なす、きくらげ、よもぎなど

【活血(かっけつ)類】:血液の循環をよくし、「血瘀(おけつ)」と呼ばれる血が固まっている症状を治療します。

青梗菜、甜菜、クワイ、酢など

例えば、流血で目が赤い場合は、れんこんがよいとされています。

高血圧の出血の一種ととらえ、なすがよいと言われます。

生理不順も、不正出血や多量の場合は、よもぎを産後や閉経の場合は、くわいや甜菜などを用います。

今回は、ここまで。

中医学は、臨床医学であり、臨床データはあっても、成分などのデータはないので。

空芯菜と青梗菜の何が違うんだ?など不思議なことも多いのですが(笑)。

漢方薬などにおける臨床データなどをみると、すごいなと思うところが多々あり。

薬膳は大きくとらえて取り入れることをお勧めします(笑)。

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