2018年9月10日
Vol.171 薬膳食材の禁忌
さて。
月まで、だらだらと食材の分類の仕方についてお話してまいりましたが。
いざ、この分類分けを使用し、薬膳的メニューを考えようとするときに、気をつけなくてはいけないことがあります。
それが、禁忌(きんき)です。
今回は、薬膳の禁忌について。
●飲食禁忌とは
「食薬を使うときに、単品で使うことは少なく、一緒に使うことが多いので、組み合わせるときには禁忌を忘れてはいけない(食薬学より)」とあります。
中薬(漢方薬などに入っているもの)を使用する場合は、薬の飲み合わせのようなもので、相互作用が生まれることもあり、かなりの注意が必要ですが、食薬の場合は、もとは食材ですから。
昔から日本にも伝わる、「うなぎと梅干し」とか、「天婦羅とスイカ」みたいなものかと考えて頂ければ。
例えば、
豚肉の禁忌は、牛肉、すっぽん、生姜、そば
鴨肉の禁忌は、亀、すもも
海老の禁忌は、鶏肉、豚肉等など。
「え~、生姜焼きはどうしたらいいの?」とか、「よく中華料理でシュウマイなどに、豚肉や鶏肉とえびをあわせてるじゃない!」と、突っ込みどころ満載で(笑)。
その体調、体質に合わせて改善のための「薬膳料理」には、例えば、陰・津液(必要な体液)を補充するために豚肉を使用する場合、生姜は発散力が強く、体液を消耗させることがあるので、一緒に使用できない、ということなんです。
なので、補陰しようと豚肉を摂取しているのではなく、普通に夕飯として豚肉を使用する場合は、気にしなくてもいいことかと(笑)。
●その他の禁忌
薬膳料理を組む時に、食べ物の組み合わせも必要ですが、他にも考えなくていけない場合があります。
それが、「体質の禁忌」「病気期間の禁忌」「治療期間の禁忌」「妊娠期間の禁忌」などです。
体質の禁忌は、先ほども例に上げた生姜の例もそうですが、もっとわかりやすい例をあげれば、冷え性の方に身体を冷やすゴーヤやスイカを食べさせてはいけない、ということですね。
また、病気の禁忌は、例えば、夏の風邪をひいた場合、身体を温めすぎる食材、辛いものや羊肉などをとると、逆に身体の津液(体液)を痛めるのでとってはいけないとか。
治療期間とは、薬を飲んでいる期間のことで。
例えば、風邪の場合、薬(漢方薬)を飲んでから、お粥を食べるようすすめられますが、これは、気を温め、薬を助けるためであり、逆に、薬を飲んだ後に氷水や刺激のあるものは、薬の効果を落とすことがあるので禁忌とすべきであると書かれています。
また、妊婦さんにも同じように、毒性の強いもの、辛いもの、冷やすものなどは注意すべきであるとあります。
考えれば、なるほどと納得することもあれば、逆になんで?ということもあったり(笑)。
日本で昔から伝わる食べ合わせも、現代の栄養学的に調べてみると、本当にそうであるものと、問題ないものがあったりしていますよね。
きっと、この薬膳の禁忌も、中国何千年の歴史の中で見つけ、伝えられてきたもので、今、調べると、いやいや、というものもあるとは思いますが(笑)。
中にはもちろん、本当によくないものも入っていることもあり。
とりあえずは、薬膳料理を作る際には、気をつけなくてはいけないことなんです。
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