コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2019年4月9日

Vol.178 季節の薬膳 春Ⅱ

今年は、桜が咲くのが早かったですね。

温かくなるのが早かった割に、その後、寒くなったため、長い間、桜が楽しめました。

でも。温かかったり、寒かったり。

今日は、何を着ればいいの?と悩む毎日...。

そんなこの時期、身体も悩んでいます。そして、人によって、その表れ方は違います。

前回、春の特徴やその時に手助けしてくれる食材について話をしましたが、今回は、それをもうちょっと進めていったお話。

●今、どんな状況?

前回、春は「肝」がよく働く時期だ、という話をしました。

上昇、発散させる時期なので、それを手伝いましょう、と。

それがうまくいっている身体は問題なく、そのまま、梅雨に向けてそれに気をつけながらすすめていきます。

しかし、このあたりから、肝の働きがうまくいっていない場合、いろいろと症状がでてきます。

例えば。

目が充血していませんか?

のどが痛くなっていませんか?

また、感情にも表れます。

怒りっぽくなっていませんか?

(と言っていたら、子供たちに、かあさんは、いつもそうだよね、と言われました...。ちっ笑)。

こんな症状は、肝の気が熱しすぎて興奮状態なのかもしれません。

逆に、食欲が落ちたり、便秘になったり。

めまいがしたり、生理が不順になったり。

気持ちの面では、なぜか落ち込みやすかったり、躁鬱が激しかったり...。

こんな症状は、肝の働きが停滞して、めぐりが悪くなっているかもしれません。

●そんな時は何食べる?

ここで、また、以前だらだらと書いていた食材の分類分けの話です(笑)

基本は、前回お話しした、「解表類」のものを使い、肝の働きを助けます。

「身体を温めるもの」を中心に、「辛味」「酸味」「甘味」のものをとるようにします。

その上で。

肝の気が興奮状態の場合は、肝の気の熱を少し下げてあげようとします。

「辛涼解表類」あるいは、「清熱類」のものです。

清熱類のものは、とり過ぎると、身体を冷やし過ぎてしまうので、気をつけながらとります。

気のめぐりが悪い場合は、「理気類」です。

「理気類」を使用する場合は、もとの「気」が足りていない(パワー不足ですね、つまり)ことが多いので、「補気類」を混ぜながら、とるようにします。

また、「肝」は、肝臓に血液を貯蔵する働きを持っています。

肝血を充足させることで肝の働きも元気になるため、どちらの場合も、また、元気な場合も「養血類」のものをとるようにします。

辛温解表類…ねぎ、生姜、紫蘇、みょうが、三つ葉、パクチーなど

辛涼解表類…菊花、ミント、葛など

清熱類…セリ・白菜・トマト・セロリ・豆腐など

理気類…玉ねぎ・らっきょう・そば・えんどう豆・かんきつ類など

補気類…米・長芋・キャベツ・かぼちゃ・いんげんなど

養血類…ほうれん草・にんじん・ピーナッツ・イカ・タコ・レバー・ぶどうなど

ちなみに、前回もいいましたが、春は、「筋」「目」「爪」と関係深く。

体調の不良が、ここに表れやすくなります。

筋がのびたりしていませんか?

爪はピンクでつやつやしていますか?

日頃から、自分の身体に気を配ってあげることが大切です。

身体が弱っていると、ささいなことで、体調をくずしやすくなります。

寝不足が続いていると、風邪をひきやすくなったりしますよね。

この時期は、異動があったり新しい環境が始まったりと、ストレスを感じやすい時期です。

元気な身体であれば、それを乗り越えられても、体調が万全でないと、つまずいてしまい、心も身体も病気になってしまう、ということにもなりかねません。

春、せっかくの発散、上昇の季節です。

前向きに元気で過ごせるよう、気をつけたいものですね。

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