コラム

井上奈々子の『食の豆々知識』

2019年5月7日

Vol.179 季節の薬膳 梅雨Ⅰ

長かったGWも終わってしまいました...。

今は新緑の時期。

気持ちの良い季節ですね。

しかし、6月に入ると梅雨に入り、急にじめじめとした湿気の多い季節になります。

今回は、少しずつ忍び寄るじめじめとした湿気にどう対処するか、という「梅雨」の時期の話。

●まずは、梅雨に表れる身体の特徴から

春は、「風」の気の季節でした(覚えていらっしゃいますか?笑)。

梅雨はまさに「湿」の季節です。

「湿」は、字のごとく。

じめじめとしていて、重く下に下がるイメージ。

身体が重い感じがあり、頭も重く痛くなることがあります。

症状が長引きやすく、粘りのある痰が絡むようになったり、皮膚の荒れがぐちゅぐちゅとひどくなったりします。

下の方に下がりやすいので、不調は下半身にでやすくなります。

これらは、梅雨の季節に活発になる臓器、「脾」の働きが不調になるせいでもあります。

「脾」とは、消化器の役割をする臓器。

暑い日多くなってくると、つい冷たいものをとり過ぎるようになり、脾の疲れが表れやすくなります。

脾が疲れると、水分の代謝が悪くなりむくみがでやすくなります。

腰や膝が重く痛むのも、脾の働きのせいかもしれません。

食欲不振や、腹部が張る、疲れやすくなる、などの症状も表れます。

「肝」の話の時に、「肝」の働きが悪くなると、「脾」に影響するという話をしたのですが、「肝」の季節である春の体調を不調に過ごすと、それが「脾」につながり、梅雨の時期を快調に過ごしづらくなるということも多々あります。

●この時期、まずは、これをよくとりましょう

前回もちょっとお話ししました、食薬の分類の中で、今回は、身体の余分な湿を取り除く手助けをしてくれるものをとりましょう。

「去湿類」の中の「利水滲湿(りすいしんしつ)」と「芳香化湿(ほうこうかしつ)」、を使用します。

「利水滲湿」は、利尿作用があり、湿を排泄させてくれます。

「芳香化湿」は芳香によって、湿を取り除いてくれます。

また、ここに、前回も使用した、「辛温解表類」が入ることもあります。

辛温解表類は、発汗によって湿を取り除いてくれます。

利水滲湿…はと麦、あずき、大豆、黒豆、冬瓜、とうもろこしなど

芳香化湿…カルダモン、フェンネル、スターアニスなど

辛温解表類…ねぎ、生姜、紫蘇、みょうが、三つ葉、パクチーなど

身体のめぐりが悪くなっているために、下に降りていくことが多いので、気をめぐらせてくれる「理気類」もよく使用します。

理気類…玉ねぎ、そば、グリーンピース、らっきょう、ジャスミン、かんきつ類など

5月から、香りのよい新生姜や、青山椒、らっきょうなどが出回ります。

つくづく、旬のものは、その季節の身体にあったものなのだと感じます。

そして、この時期は、それらの手仕事に追われる時期なのでもあります...。

でも、5月は、私の誕生日月でもあり(笑)、気持ちの良い季節。

ここで「脾」を養い、体調良く元気にすごし、梅雨のだるさや、その後に続く夏バテも関係なく過ごしていきたいですね。

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